
ストリーミング配信について…現時点では配信されていない。
【収録曲】
全曲作詞 森浩美
1.2.作詞 真名杏樹
1.作曲 佐藤健
2.3.作曲 都志見隆
4.作曲 中崎英也
5.作曲 羽場仁志
6.作曲 長岡成貢
7.8.作曲 村井博
9.作曲 羽田一郎
10.作曲 白井良明
全曲編曲 GREG MATHIESON
1.3.編曲 GREG MATHIESON・JERRY HEY
2.4.編曲 船山基紀
サウンドプロデュース GREG MATHIESON
プロデュース RYOUICHI OKUDA & TAKASHI “TACK” NUMATA
1.OFF LIMITな夜 ★★★★☆
2.VIDEO DAYS ★★★★★
3.生粋 ★★★★☆
4.涙の消える場所 ★★★★☆
5.夏の隠れ家〜Weekend Resort〜 ★★★★★
6.Pacific Side Hotel ★★★☆☆
7.光の朝 ★★☆☆☆
8.A LONG TIME AGO ★★★☆☆
9.鉄爪 ★★★★☆
10.June・25〜Xmasからいちばん遠い日〜 ★★★★☆
1990年6月25日発売
パイオニアLDC
最高位不明 売上不明
村井博の3rd(ラスト)アルバム。シングル「VIDEO DAYS」と同時発売された。前作「Dolphin Kick」からは1年ぶりのリリースとなった。
村井博は1988年にデビューしたシンガーソングライター。1991年までにシングル5作・アルバム3作をリリース。
「OFF LIMITな夜」は今作のオープニング曲。爽快なポップファンクナンバー。村井のハイトーンボイスが冴え渡るサビはキャッチーな仕上がり。ホーンセクションやギターのカッティング、スラップベース…ファンキーな演奏が高揚感を演出している。
歌詞は夜のロサンゼルスを舞台にしたもの。どこか妖しげかつ背徳感をイメージさせる詞世界となっている。
今作はロサンゼルスでレコーディングされているので、その辺りも詞世界に反映されているのかもしれない。
「VIDEO DAYS」は今作と同日にリリースされたシングル曲。コンビニのサンクスのCMソングに起用された。
爽やかなポップナンバー。一聴しただけで口ずさめるほどにキャッチーなサビはCMソングならでは。シンセ主体のアレンジやサビのコーラスワークがポップなメロディーをより際立たせている。
歌詞は青春時代の恋を回想したものだと解釈している。一つ一つの描写が鮮やかで、聴いているとその光景がすぐに浮かんでくる。
村井のキャリアの中でも一際王道なポップスに寄った曲という印象がある。
「生粋」はシングル「VIDEO DAYS」のC/W曲。タイトルは「じゅん」と読む。
哀愁を帯びたメロディーで聴かせるミディアムナンバー。歌謡曲の色が強めなメロディーと、AOR色の強い洗練されたサウンドとの絡みが不思議と心地良い。
歌詞は関係が冷め切った恋人たちをイメージさせるもの。主人公はあくまでやり直したいと思っているようだが、果たしてそれは叶うのだろうか。
同時代の曲よりも数年前の曲のような質感がたまらない。
「涙の消える場所」はスリリングな雰囲気を持ったファンクナンバー。シンセベースが前面に出たサウンドは非常にファンキー。生音ではなく、シンセベースだからこそ出せるグルーヴ感がある。サビでは女性コーラスも起用されており、曲の世界観を演出している。
歌詞は失恋した相手を夜のドライブデートに連れ出す…というシチュエーションだと解釈している。
曲調やサウンド面と詞世界がぴったりと合っている曲という印象がある。
「夏の隠れ家〜Weekend Resort〜」は前の曲から一転して、メロウな雰囲気に溢れたスローナンバー。甘美なメロディーとボーカルには身を委ねたくなる心地良さがある。イントロを聴いた瞬間、現実とも空想ともつかないようなリゾート地の光景が浮かんでくる。曲の世界観を崩さない程度に、しっかりと主張したサウンドも聴きごたえがある。
歌詞はタイトルからイメージできる通り、恋人とリゾート地で過ごす時間が描かれている。日常を離れ、二人だけの幸せな時間を楽しむ様子が浮かんでくる。
今作の中で一番好きな曲だし、90年代シティポップという括りの中でも特に好きな方に入ってくる。名曲。
「Pacific Side Hotel」は前の曲からの流れを変えるポップナンバー。この曲もまた、歌謡曲のテイストを感じさせるメロディーが展開されている。サウンド面はギターのカッティングやホーンが前面に出ており、ファンキーな仕上がり。
歌詞はタイトル通りホテルの光景が描かれている。別れることが決まっている男女の様子や心情が伝わってくる。
曲調や詞世界はオメガトライブの作品に通じている感じがする。
「光の朝」はアコギが前面に出たサウンドで聴かせるスローナンバー。次の「A LONG TIME AGO」とともに、村井自ら作曲を手掛けている。
どこか煮え切らない雰囲気のメロディーは村井独特の魅力といえる。タイトル通りの清涼感を持ったサウンドやボーカルが心地良い。
歌詞は爽やかな朝を思わせるもの。目覚めは悪かったが、街に出てふと目にした風景に心を奪われ、ポジティブな気持ちを取り戻す…そうした姿が描かれている。
他の曲とは異なる世界観を持っており、今作の中でも異色な立ち位置の曲だと思う。
「A LONG TIME AGO」はここまでの流れを落ち着けるバラードナンバー。しっとりとした曲調ながら、サビは耳に残る仕上がり。ピアノを主体とした音数の少ないアレンジで、村井のボーカルを最大限に引き立てている。
歌詞はかつての恋人のことを思い出しながら後悔する男性の姿が描かれている。幸せな思い出ばかりが蘇って苦しむ。何とも切ない詞世界である。
村井のボーカリストとしての魅力を堪能できる曲だと思う。
「鉄爪」は再び流れを戻すファンクナンバー。タイトルは「ひきがね」と読む。
英語詞から始まるサビは一度聴いてすぐに馴染むほどにキャッチー。ギターのカッティングやホーン主体のアレンジは非常にファンキー。イントロのカッティングからこの曲に引き込まれる。
歌詞は恋人と再会した時の様子がスリリングに描かれている。主人公は恋人にその後の全てを委ねる。「たった2週間を 永遠と感じたのか」というフレーズが好き。
この曲はサウンド面が自分好みそのもの。落ち着いた曲が続いてきただけに、なおさら際立っている。
「June・25〜Xmasからいちばん遠い日〜」は今作のラストを飾る曲。
哀愁を帯びたメロディーや演奏で聴かせるミディアムナンバー。全体を通して派手に盛り上がることはないが、それでもサビはキャッチーにまとめられている。
歌詞はタイトル通り6月25日をテーマにしており、この日を「Summer Xmas」と呼んでいる。この曲もまた、別れた恋人へのメッセージが綴られている。
今作の発売日は6月25日だが、この曲のタイトルに合わせたのだろうか。そうだとすると、とても粋な演出だと思う。
中古屋では見たことが無い。
ネットでは非常に高騰しており、定価の数倍高い価格で出回っている。
高騰も頷けるだけの充実した内容の名盤。
ジャケ写のイメージ通り、全編通して清涼感に溢れた曲が揃っており、夏を過ごすお供として聴くには打ってつけ。
90年代シティポップにおける傑作と言い切れる。だからこそサブスク解禁されてほしいところ。
★★★★★