詳説・収穫月間MVP 2018年11月編
今回の受賞作品はこちら。
初めまして部門
- アーティスト: Buono!
- 出版社/メーカー: PONYCANYON INC.(PC)(M)
- 発売日: 2009/02/11
- メディア: CD
- 購入: 5人 クリック: 37回
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・中江有里「mémoire(メモワール)」(1992年)
顔見知り部門
・大江千里「Untitled Love Songs」(2002年)
・浜田省吾「Home Bound」(1980年)
↑リマスター盤。
このような顔ぶれとなった。惜しくも受賞を逃した作品は以下の通り。
初めまして部門
・sisters「映画」(1999年)
・田村英里子「Behind the Heart」(1990年)
顔見知り部門
・ORIGINAL LOVE「EYES」(1993年)
早速、受賞した作品の簡単な感想を書いていく。今回は発表からあまりにも時間が経ち過ぎてしまったので、「惜しくも受賞を逃した作品」の感想もセットで書いていく。
初めまして部門…
Buono!「Buono!2」…2018年は48グループ・坂道系を始めとしたアイドルに深くハマり、色々と聴き進めた年だった。ただ、ハロプロ系はあまり聴けていない状態。その中で聴いた数少ないハロプロ系のグループがBuono!だった。
ロック色の強い曲が多いグループで、今作はそれが顕著だという予備知識を入れて聴いたが、まさにその通り。まだ幼さの残る3人のボーカルと激しいバンドサウンドの絡みは不思議と心地良く、聴いていてとても楽しい作品だった。シングル曲はもちろんのこと、アルバム曲も耳馴染みの良い曲ばかりですぐに印象に残る曲が多かった。早くも好きな作品となった。
中江有里「mémoire(メモワール)」…中江有里はコメンテーターや作家というイメージが強く、アイドル活動をしていたというのは全く知らなかった。本人としては忘れたい過去なのだろうか。
凛とした雰囲気のジャケ写からも察しがつくように、全体を通して明るさに満ちた作品というわけではない。透明感のある歌声を生かした、上質な曲が並んでいた。ポップな曲もあれど、あくまで上品さを失わないような仕上がり。アイドルというよりも、女優と言った方が合うのではと感じた。とはいえ歌声は自分の好みだったので、まだ入手していない2ndアルバムも入手したいと思う。
顔見知り部門…
大江千里「Untitled Love Songs」…大江千里は自分の一番好きなアーティストと言っていい存在なのだが、90年代後半以降の作品は歌声の変化のせいかあまり聴いてこなかった。ただ、今作は違った。
自分が思う大江千里の全盛期は80年代後半なのだが、その頃を彷彿とさせる入魂の名盤だった。90年代後半以降の作品は苦しそうな歌声が気になってあまり楽しめないということがあったものの、今作に限ってはそれが無かった。メロディーもアレンジも自分の好きなタイプのものが次々に出てきて、歌声がさほど気にならなかった。タイトル通りラブソング主体の詞世界にも引き込まれた。やはり大江千里は素晴らしい詩人だ。自分の中に長らく眠っていた大江千里への熱を蘇らせてくれる作品だった。
浜田省吾「Home Bound」…浜田省吾も大江千里と同じく、自分の音楽遍歴の中で大きな存在となっているアーティスト。ただ、初期の作品は持っていないものが多く、かなりの人気作である今作もこの頃にやっと入手した。
ベスト盤で馴染みのある曲が多く収録されており、今作そのものもすぐにハマった。ロサンゼルスでレコーディングされた(浜田省吾にとっては初の海外レコーディング)ようで、ロック色がかなり強い作風がたまらない。今作以前の作品を聴いた時の違和感の正体はそれだったとわかった。浜田省吾自ら「第2のデビューアルバム」と称しただけあって、確かな完成度を誇る作品だった。
惜しくも受賞を逃した作品…
初めまして部門
sisters「映画」…sistersはフォロワーの影響で名前を知り、作品を入手した。女性3人組のバンドは数多くあれど、sistersは相当にマイナーだと思う。
凝ったコーラスワークが印象的なポップスを楽しめる作品だった。ボーカルの伊藤千恵の切なさに満ちた歌声は好みのどストライクで、聴いていてとても心地良かった。繊細さと力強さの間で絶妙なバランスが保たれている印象があり、気高ささえ感じられるほどだった。入手困難だとは思うが、他の作品も聴いてみたい。
田村英里子「Behind the Heart」…田村英里子はアメリカで活躍する女優ということで名前を知っていたが、これまたアイドルという過去を知らなかった形。
80年代の終わり〜90年代後半頃まではアイドル冬の時代と称されることがあるが、今作はまさにその頃の雰囲気を感じさせる作品だった。ポップではあるがどこか陰がある感じ。ただ、シティポップの要素を散りばめた上質な曲たちはどれも完成度が高かった。歌声も自分の好きな部類で、聴き心地が良かった。他の作品も入手したいと思う。
顔見知り部門
ORIGINAL LOVE「EYES」…アシッドジャズの名盤として挙げられることがある「結晶」と、セールス的に飛躍を遂げた渋谷系の名盤「風の歌を聴け」の間で何とも地味な印象の作品。今作について語られることは少ないと思う。そのため、今作の入手が遅れてしまっていた。
ジャズやファンク、ソウル、ブラジル音楽など多彩なジャンルを取り入れた雑多なポップスに圧倒される作品だった。自分が勝手に思っているORIGINAL LOVEの王道的な作風はこの頃のものだったとわかった。田島貴男の歌い方もデビュー当初から変わり、この頃に定まったようだ。過渡期の作品といってしまえばそれまでだが、過小評価されるには惜しい。
とりあえず、こんな感じ。次回はまたいつか。