詳説・惜しくも受賞を逃した作品 2018年10月編
惜しくも受賞を逃した作品は以下の通り。
初めまして部門
・指田郁也「しろくろ」(2013年)
・山崎あおい「アオイロ」(2014年)
・Jellyfish「Spilt Milk」(1993年)
・大森洋平「20 R.P.M.」(1997年)
顔見知り部門
・Mr.Children「重力と呼吸」(2018年)
・近藤名奈「最高の笑顔を花束にして」(1994年)
・COKEBERRY「Sugar Plum Fairy」(1996年)
・オオゼキタク「夜明けのスピード」(2004年)
早速、↑に挙げた作品の簡単な感想を書いていこう。
・指田郁也「しろくろ」
指田郁也は前から名前だけ知っていたが、趣味の合うフォロワーさんが今作を高評価していたことで興味を持った。
山下達郎や小田和正、マイケル・マクドナルドなどから影響を受けたというだけあって、洗練されたポップスの数々を楽しむことができた。シティポップ・AORテイストの強い曲、ファンクの要素を持った曲、ロック色の強い曲など多彩な作風に引き込まれた。「花になれ」「バラッド」を先に聴いていたためか、バラードシンガーとしてのイメージが強かった。ただ、今作を聴いて指田郁也が幅広い音楽性を持ったシンガーソングライターであることがよくわかった。
・山崎あおい「アオイロ」
山崎あおいは先月くらいからフォロワーさんの間でじわじわと人気が広がっていた印象があり、その中で自分も興味を持って今作を入手した。
この手のギター弾き語り系の女性シンガーソングライターはかなり好みだ。歌声も透明感があって爽やかな感じで自分の好きなタイプだったので、一聴しただけでハマった。様々な曲調を揃えた作風で、それぞれで山崎あおいの魅力を引き出すような作品になっていたと思う。優れたメロディーメーカーでもあると実感した。今作以外にも数作リリースしているが、そのどれも気に入りそう。早く聴きたい。
・Jellyfish「Spilt Milk」
Jellyfishは90年代におけるパワーポップバンドの代表的存在で、リリースした2作のアルバムがどちらも名盤として名高いアメリカのバンド。1stの「Bellybutton」も入手したが、2ndのこちらの方が好きなので紹介する。
ビートルズ、ビーチボーイズ、Queen、Badfinger、Elton John、ELO、XTCなどといった先達からの影響を強く感じさせる、どこまでもポップで楽しげな雰囲気のある曲たちがたまらない。その中にひねくれた部分やマニアックな要素が詰まっているのも魅力的。ボーカルのアンディ・スターマーもクセのない歌声で聴きやすい。奥田民生やPUFFYとのつながりもあるので、日本人にも親しみやすい洋楽だと思う。そこまで洋楽を聴く方でもない自分でもすぐにハマった。
・大森洋平「20R.P.M.」
直近にリリースされた曲をフォロワーさんが高評価していて、それで大森洋平の名前を知った。その後、デビュー曲の「彼女」を好きになり、それが収録された1stアルバムの今作を入手した形。自分が思っていた以上にキャリアの長いシンガーソングライターだった。
参加ミュージシャンを見て浜田省吾の作品とメンバーが似ていると思って聴いたが、まさにその雰囲気を感じさせる曲ばかりだった。軽快かつ力強いロック・ポップスというのか、開放的な作風に魅かれた。アップテンポな曲でもバラードナンバーでも確かな力を持ったメロディーが展開されていて、メロディーメーカーとしての実力がよくわかった。今作以降の作品も入手したい。
顔見知り部門
・Mr.Children「重力と呼吸」
ミスチル史上最長のブランクを経てリリースされた作品にして、小林武史が一切参加していない初の作品。ベテランどころか既に大御所の域に達しつつある印象のミスチルだが、バンド史を通じてもかなりの変化があった中で制作・リリースされた作品と言える。当然、情報が出た時からずっと楽しみにしていた。
ここまでバンドサウンドが前面に出た作品は今までに無かったんじゃないか。爽快なロックナンバーに重厚なロックバラードが次々と登場する印象がある。ただ正直なところ、1回聴いただけではよくわからなかった。聴き進める度に曲がするすると耳を離れていく感覚があり「なんだこれ?」とすら思った。2回目は少しだけ印象が上がった。そこからも少しずつ印象が良くなった。しかし、どうしてもサウンド面ばかりが印象に残る。今作を聴いて、ミスチルはまだ過渡期だと感じた。完全セルフプロデュースとなった今の体制がまだ盤石ではないのかもしれない。以降のミスチルの作品に期待。
・近藤名奈「最高の笑顔を花束にして」
- アーティスト: 近藤名奈,田辺智沙,岩崎文紀,水島康貴,樫原伸彦
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近藤名奈はかなり前から聴いていて、それなりに好きなガールポップ系アーティスト。ただ、あるフォロワーさんが途端に近藤名奈にハマり、自分よりも早く作品を揃えた。その中で今作を特に絶賛しており、それにつられるような形で自分も今作を入手した。
これまでの2作よりもさらに歌声の力強さや訴求力が増している印象があった。「大人っぽくなった」という表現が合う。元々透明感や清涼感のある歌声の持ち主だが、今作から新たな魅力が見つかった。詞世界についても、ラブソングが多くなったと思う。サウンド面で聴きごたえのある曲も多く、特に気に入った作品。
・COKEBERRY「Sugar Plum Fairy」
COKEBERRYは昨年に「こころのうた」を聴いたが、そちらはオルタナロック色の強い作風でそこまでハマらなかった。当初からこちらを収穫したかったのだが、入手するまでにかなり時間がかかった。
シティポップ・AOR、ソウル、ファンクなどの要素を取り入れた曲が展開されており、ボーカルのミーマのひんやりした感じの歌声が映える曲ばかりだった。特にオープニングの「Our Way(Is Goin’ On)」はかなりの名曲だと思う。良くも悪くもこの曲が強過ぎる印象もあるが、全体を通してメロディーや演奏に聴きごたえのある作品である。この手のグルーヴィーな音楽が評価されやすい現在の方が親しまれるのではないか。
・オオゼキタク「夜明けのスピード」
オオゼキタクは昨年聴いた「コバルト原チャリ」「デラックス・コレクション」を聴いてハマった。歌謡曲のような心地良くどこか切ないメロディーがたまらない。多彩なアプローチをしつつもポップにまとめるメロディーセンスに圧倒された。
わずか6曲入りのミニアルバムなのだが、その分どの曲もしっかり耳に残った。ポップな曲もバラードのどちらにも引き込まれる。今作でも前述したメロディーセンスが遺憾無く発揮されていた。オオゼキタクほど哀愁漂う曲を多く生み出せるソングライターも中々いないのではないか。
とりあえず、こんな感じ。次はまたいつか。