詳説・惜しくも受賞を逃した作品 2018年8月編

「#収穫月間MVP」を受賞するのは各部門2作のみ。ただ、それ以外にもいいと思った作品は多くあるわけで、それを紹介しないまま埋もれさせるのは勿体無い。そうした理由から「惜しくも受賞を逃した作品」も発表している。

 

今回のラインナップは以下の通り。

 

初めまして部門

大橋利恵「Realize」(1997年)

REALIZE

REALIZE

 

 

渡辺学「the seasons」(1998年)

THE SEASONS

THE SEASONS

 

 

カラスは真っ白「おんそくメリーゴーランド」(2014年)

おんそくメリーゴーランド

おんそくメリーゴーランド

 

 

顔見知り部門

 

田中友紀子「君たちのくれた夏」(1993年)

君たちのくれた夏

君たちのくれた夏

 

 

渡辺満里奈「SUNNY SIDE」(1988年)

SUNNY SIDE

SUNNY SIDE

 

 

このような顔ぶれとなった。以下はこれらの作品たちの簡単な感想を書いていく。

 

大橋利恵「Realize」…フォロワーが「歌声がZARDに似てる」というような感じで時折話題に出す印象が強く、それで名前を知った。ZARDは好きなので、それにつられるように今作を入手した。

五十嵐充がプロデュースを手掛けただけあって、リリース当時のELTの作風そのままと言ったところ。知識無しで聴くと、どの曲がシングル曲かわからなくなるような力の入ったプロデュースだった。シンセをふんだんに用いた、キャッチーな王道J-POP。歌声もそれにぴったりの清涼感のあるものだった。作風が似たアーティストが多くいたとは言え、もう少し売れていても良かったのではと感じた。

 

渡辺学「the seasons」…渡辺学はこれまで全く名前を知らなかったが、いつも読んでいるブログで作品が紹介されており、それで興味を持った。シティポップ・AOR、ファンクを得意とするシンガーソングライターである。

今作は1stアルバムのようで、どちらかというと王道なJ-POPが多めだった印象。路線が定まっていなかったのだろうか?とはいえ、メロディーの良さやサウンド面の聴きごたえは変わらず。また、タイトル通りに四季をイメージさせる構成となっているのが印象的だった。コンセプトアルバムとしての趣も感じさせる作品だった。他の作品も探してみようと思う。

 

カラスは真っ白「おんそくメリーゴーランド」…YouTubeで耳にした曲が印象的で名前を知り、作品を入手した。自分にしては割と最近のアーティストの作品を手に取ったと思っていたのだが、昨年に解散してしまったようだ。アイドルを含めて、自分にはこうした現象がよく起こる。閑話休題

やくしまるえつこを彷彿とさせる、聴いていると変な気持ちが芽生えそうになるウィスパーボイスと、ファンキーなバンドサウンドの絡みが印象的な作品。帯文からもポップ性に拘っているのがわかったが、確かにどの曲も耳に残った。同じ路線の曲が揃い過ぎたためか、聴き終えると全曲が横一列になってしまった印象もあったが、この手のアーティストはやはり好きだ。

 

 

田中友紀子「君たちのくれた夏」…田中友紀子は4月に「Reflection」を入手してハマった。田中友紀子の作品はプレミアがついているのか、中古屋やオンラインショップをあたっても中々見当たらない。しかもそれなりの価格で出回っている。ただ、今作は運良く500円で入手できた。

村田和人がプロデュースと全曲の作編曲を手掛けただけあって、どの曲も清涼感のある仕上がり。シティポップやリゾートミュージックのテイストが強い曲ばかりで、暑い日に聴くにはうってつけだった。田中友紀子の爽やかで可愛らしい歌声も自分好みそのもの。

田中友紀子は90年代ガールポップの中でもそれなりにマイナーな方に入ると思うが、その中でシティポップ・リゾートミュージックへのアプローチをしたアーティストはあまりいなかったように感じる。僅かなリスナーだけに支持されるのも勿体無い。再発されたら新たなリスナーも出てくると思う。

 

渡辺満里奈「SUNNY SIDE」…渡辺満里奈は6月から3回連続で「#収穫月間MVP」及び「惜しくも受賞を逃した作品」の舞台に上がっている稀有なアーティストである。それだけ作品が自分好みということだと思っている。

ジャケ写やタイトルからも察しがつくように、リゾートミュージック色の強い作風だった。前作「EVERGREEN」で素晴らしいアレンジで作品を彩った山川恵津子に加え、井上鑑武部聡志も参加してさらにバラエティ豊かになった印象がある。とはいえ、渡辺満里奈の王道とでも言うのか、清楚で爽やかな雰囲気は何ら変わらない。前作で確立されたソロとしての渡辺満里奈のイメージを崩さないような、早くも安定感を感じさせる作品だった。

 

とりあえず、こんな感じ。次回はまたいつか。