詳説・惜しくも受賞を逃した作品 2018年5月編

 

「収穫月間MVP」を受賞する作品があれば、それぞれの部門で2作のみという枠の都合によって惜しくもそれを逃してしまう作品も生まれる。しかし、そのような作品たちも受賞した作品と同じくらい良いと思ったわけで、それを広めずにいるのはあまりにも勿体無い。

こうした理由で毎回「惜しくも受賞を逃した作品」を紹介している。

今回の「惜しくも受賞を逃した作品」たちは以下の通り。

 

初めまして部門

・坂口有望「blue signs」(2018年)

blue signs(初回生産限定盤)(DVD付)

blue signs(初回生産限定盤)(DVD付)

 

 

かの香織「裸であいましょう」(1995年)

裸であいましょう

裸であいましょう

 

 

・中里あき子「1/200,000の都会」(1987年)

 

1/200.000の都会

1/200.000の都会

 

 

1/200,000の都会

1/200,000の都会

 

 

顔見知り部門

原田真二「Urban game」(1988年)

Urban game

Urban game

 

 

和田弘樹「WONDER HERO Ⅱ Brand-New Atlas」(1996年)

WONDER HERO II Brand-New Atlas

WONDER HERO II Brand-New Atlas

 

このような顔ぶれとなった。

 

初めまして部門

・坂口有望「blue signs」…坂口有望は昨年「好-じょし-」を聴いてハマり、その後も何曲か耳にして好印象だった。そのため、少々高値ではあったものの、1stアルバムである今作も入手して聴いてみた。

坂口有望はギター女子というような括りになるのだろうか。この手のアーティストは個人的にも好きなタイプである。作品に関しては、10代後半というタイミングでしか描き出せない感情が詰まっていた。まさか自分よりも年下のアーティストが出てくるとは…という驚きもあったが、その詞世界には色々と共感できた。何より驚いたのは、そのメロディーセンス。どの曲もしっかり耳に残った。まだまだ坂口有望の活躍を見届けていきたい。そう思わせてくれる作品だった。

 

かの香織「裸であいましょう」…かの香織は前から名前だけ知っていたが、作品は聴いたことがないという状態だった。フォロワーさんからのおすすめもあったので、今作を入手して聴いた。

かの香織は女性ポップス職人と言える存在だが、その魅力をしっかり堪能できる作品だと思った。シティポップの雰囲気も漂わせた、お洒落で上質なポップスの数々はとても心地良いものがあった。それと同時に、卓越したメロディーセンスの持ち主だとわかった。かの香織独特の、変幻自在のボーカルも冴え渡っていた。今作がリリースされた当時、ひっそりとガールポップが盛り上がっていたわけだが、それらとはまた少し違った魅力を持ったアーティストだと感じた。中古屋でよく見かけるのが歯がゆい。

 

中里あき子「1/200,000の都会」…この作品及びアーティストの存在は、中古屋で見かけて初めて知った。調べてみると、ごく一部のサイトで高い評価がされていたので気になり、それを購入した形。

本職がアイドルなのか本格的な歌手なのかはわからないが、とても可愛らしく透明感のある歌声の持ち主だった。もっと聴けば「理想の女性ボーカル」の位置につきそうなくらい。一曲一曲の完成度もなかなか高い。サウンド面は時代を感じさせるものばかりだったが、いかにも80年代後半という感じのサウンドは自分好みなので欠点にはならなかった。

 

顔見知り部門

 

原田真二「Urban game」…原田真二はほぼ同じ時期に入手した「Magical Healing」が収穫月間MVPを受賞したが、今作もそれと同じくらいハマった。同一アーティストの作品が収穫月間MVPの席に並ぶのは個人的にはあまり無いことだったので、何となく新鮮な気分。

当時の原田真二エレクトロファンクに傾倒していたわけだが、今作がそのラストとなるアルバム。アップテンポな曲でも、バラードでもとにかくメロディーが印象に残る上に、サウンドへの拘りぶりが凄まじい。卓越したメロディーメーカー・サウンドクリエイターであることを実感させてくれる作品だった。全編を通して才気走っているのがよくわかる。

 

和田弘樹「WONDER HERO Ⅱ Brand-New Atlas」…和田弘樹は2月に入手した「WONDER HERO」を聴いてハマったが、今作はその次作。現在はh-wonder名義で作編曲家として活躍しているのも頷ける、実力と才能がしっかり現れた作品だった。

今作は外部が作詞した曲や、他のミュージシャンと共同で編曲した曲があるのが特徴。これまでもバラエティ豊かで飽きない作風だったが、それによってさらに楽しみどころが増えた。好青年的なイメージの歌声は相変わらず。この手の歌声の持ち主はすっかり減ってしまったので、中々に貴重である。たまには自分で歌ってほしいと思う。

 

とりあえず、こんな感じ。前回の記事を更新してから、だいぶ時間が経ってしまった。放置しだすといつまでも放置してしまう性分が出てしまった。次はまたいつか。