詳説・収穫月間MVP 2018年4月編

「収穫月間MVP」の発表が先週の土曜日に行われた。この記事は毎回発表した直後に更新して公開していたものの、今回は色々と忙しくなって遅れてしまった。

 

何度も説明してきたが、今一度「収穫月間MVP」についての説明を行う。

 

「収穫月間MVP」は前の月に初めて作品を入手したアーティストが対象の「初めまして部門」と、それ以前から作品を入手していたアーティストが対象の「顔見知り部門」とがある。それぞれ2作品ずつ。

以前から作品を入手していたが、塩漬けにしていて聴いていなかった作品が対象の「感動の再会部門」と題した部門も一応ある。管理人は一度だけそれを適用したことがあるが、それ以降は対象作品が無かったため使っていない。

 

長くなってしまったが前置きはここまで。ツイッターで既に受賞作品は発表したが、こちらでも発表させていただく。

 

初めまして部門

 

比屋定篤子「ささやかれた夢の話」(1999年)

ささやかれた夢の話

ささやかれた夢の話

 

・上野優華「Sweet Dolce」(2017年)

Sweet Dolce (初回限定盤A)

Sweet Dolce (初回限定盤A)

 

 

顔見知り部門

高野寛「Everything is Good」(2017年)

EVERYTHING IS GOOD

EVERYTHING IS GOOD

 

荒木真樹彦「Baby,You Cry」(1990年)

BABY,YOU CRY

BABY,YOU CRY

 

このような結果となった。正直なところ、4月は新規開拓したアーティストの方が圧倒的に多かったので、顔見知り部門の選定は少々無理したような感じになっている。とはいえ、気に入った作品なのは事実。

 

それでは、受賞した作品の簡単な感想を述べていく。

 

比屋定篤子「ささやかれた夢の話」…今までは名前すら知らなかったものの「まわれまわれ」をYoutubeで聴いて、艶のある美しい歌声に魅せられた形。近年のシティポップ・AOR再興の中で、今作も再評価されているのだろうか。中古でもやたら高値で出回っているのが特徴。

どうやら比屋定篤子の本職はボサノヴァのようだが、今作は前述した通りシティポップ・AORに傾倒した作品となっている。一口にそれらのジャンルを挙げても70年代と80年代ではかなり毛色が違うが、今作はどちらかというと70年代寄り。タイトで温かみのあるバンドサウンドと、流麗なメロディーに、聴き手を癒す歌声。それは大貫妙子を彷彿とさせるものだった。聴いていて本当に心地良いし、思わず身体が動いてしまうような部分もある。高値で出回っているのも頷けるような名盤だった。

 

上野優華「Sweet Dolce」…上野優華は昨年名前を知った。というのも、ツイッターでいつもお世話になっているフォロワーさんが突然どハマりし、魂のこもった布教を行っていたからだ。無意識のうちに名前が記憶され、曲名がインプットされていた。今作に収録された「やくそく」は、曇りめがねの本家ブログ「今日はこんな感じ」でかつて行った「2017年のベストソング」で紹介しており、今作を聴けばハマるという気はしていた。案の定ハマってしまった。

リリース当時は18歳だったという若きアーティストの作品に対して使う言葉ではないだろうが、「懐かしい」と思った。自分の好きな90年代のガールポップを想起させる部分が多くあったからだ。アイドルなのかアーティストなのかわからない上野優華のキャラクターもまた、それを思わせた。

曲に表情をつけるように多彩な魅力を持った歌声、ポップ性を忘れないメロディーの数々はまさに自分の好みのど真ん中。「もっと聴かせて!」と思うような、コンパクトな構成も素晴らしい。他の作品も聴いてみたい。

 

 

顔見知り部門

高野寛「Everything is Good」…高野寛は自分の特に好きな男性アーティストの一人。この作品は昨年リリースされたものだが、リリース当時の自分のお財布事情や精神的に色々あったこともあり、リアルタイムで入手できなかった。それを先月に入手した。高野寛の新譜というだけで、決して外すことは無いだろうという不思議な信頼感があった。

卓越したポップセンスはデビュー30周年を前にしても全く色褪せていなかった。一時期の作品ではアコースティックな方面に傾倒していたが、今作では持ち味のカラフルなアレンジも復活。聴いていて安心できる、優しく心に響くような歌声も相変わらず。歌入りとインストが半々くらいのミニアルバムなのだが、どの曲も確かな良さがあった。これからの高野寛の活躍を期待している。

 

 

荒木真樹彦「Baby,You Cry」…荒木真樹彦は3月にベスト盤「BACCHUS」を聴いて、その音楽性に魅かれた。マルチプレイヤー、渋く色気のある歌声、優れたメロディーセンス、ファンクやAORなど多彩な音楽性…どれも自分の好みそのもの。

今作と同時に入手した1stアルバム「SYBER BEAT」はファンク寄りな作品だったが、2ndである今作はAOR寄りな曲が多くなっていた。ファンキーなノリも素晴らしいが、メロウなノリも魅力的。しっとりした曲だと、そのメロディーセンスや歌声が尚更際立つ。決して派手ではないが楽曲を引き立てる、本人によるギターサウンドもインパクト抜群。荒木真樹彦のオリジナルアルバムは3作持っているが、今のところは今作が一番好き。

 

とりあえず、こんな感じ。次回も楽しみにしていただけたらありがたい。