詳説・収穫月間MVP 2018年8月編
毎月第2土曜日恒例と化した「#収穫月間MVP」の発表がやってきた。
そろそろルールに関しての説明も不要だろう。早速、受賞作品や惜しくも受賞を逃した作品を挙げていこう。
初めまして部門
小川博史「You Love Me」(1992年)
松浦有希「たったひとつの贈りもの」(1991年)
顔見知り部門
BUMP OF CHICKEN「RAY」(2014年)
花澤香菜「Opportunity」(2017年)
Opportunity(初回生産限定盤) (Blu-ray Disc付)
- アーティスト: 花澤香菜
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2017/02/22
- メディア: CD
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惜しくも受賞を逃した作品
初めまして部門
・大橋利恵「Realize」(1997年)
・渡辺学「the seasons」(1998年)
・カラスは真っ白「おんそくメリーゴーランド」(2014年)
顔見知り部門
・田中友紀子「君たちのくれた夏」(1993年)
・渡辺満里奈「SUNNY SIDE」(1988年)
このような顔ぶれとなった。
ここからは受賞作品の簡単な感想を書いていく。
初めまして部門
・小川博史「You Love Me」…曲も名前も全く知らない状態だったが、ある時に今作について紹介されたブログを見て知った。90年代のシティポップ・AORにおける隠れた名盤というような触れ込みであり、それで興味を持った。
期待通りの作品だった。清涼感溢れる小川博史のボーカルや、ポップかつ繊細なメロディーの数々がたまらなく心地良い。ロック色の強い曲もあれど、聴き心地の良さは全編を通して共通していた。特に気に入ったのはオープニングの「ハイウェイドライバー」。初めて今作を聴いた時は、中々次の曲に進めなくなってしまったほどに引き込まれた。
後に織川ヒロタカ名義で作品をリリースしているようだが、小川博史としてのアルバムは今作のみ。何かきっかけがあればすぐに再評価されるような作品ではないかと思う。
松浦有希「たったひとつの贈りもの」…松浦有希はアニソン関連での仕事が多いイメージで、どちらかというと作編曲家としての姿の印象の方が強かった。シンガーソングライターとしても活動していたことを知り、今作と前作の「星に願いを」を入手した。
可愛らしい歌声やポップなメロディーの数々がたまらない作品だった。ヨーロッパの民族音楽のような雰囲気を感じさせる、凝ったサウンド面も印象的。日常的な部分と現実離れしたメルヘンチックな世界観が両立した、不思議な詞世界と歌声がよく合っており、それも聴き心地の良さに繋がっていると思う。少々高値で入手したのだが、それに見合うだけの作品だった。
顔見知り部門
BUMP OF CHICKEN「RAY」…バンプは長らく自分の中での「しっかり聴けばハマる」という枠に入っていた。ふと思い立ち、収穫した直後からほぼ放置していた「jupiter」「ユグドラシル」を聴き、改めてその良さを実感した。その勢いのままに、フォロワー間でも人気のある今作を入手した形。
正直なところ、ここまで優しい作品なのかとびっくりした。衝動を思い切りぶつけるようなギターロックが王道だと思っていたからだ。ただ、優しさや温かみを前面に押し出した曲が増えても、優れたメロディーは健在だった。しっとりした曲でも確かに耳に残る。新たなバンプの魅力を知ったような感覚になった。ここからはもっとハマっていけそうだ。
花澤香菜「Opportunity」…長らく声優の作品というのは聴く気が起きなかったのだが、それを打ち破るきっかけになった存在こそが花澤香菜。昨年9月に「claire」を入手してあっという間にハマってしまった。昨年のうちにオリジナルアルバム4作中3作を入手したが、今のところの最新作である今作は未入手のまま放置していた状態だった。それをようやく先月に入手した。
歌声に魅かれてここまで聴いてきた以上、苦手な作品になるはずもなかった。UKをテーマにしていたようだが、それに沿った曲はそこまで多くもなかった印象。「上質」「お洒落」といったこれまでの作品に共通した要素は今作でも共通していた。突出して好きな曲は無いのだが、世界観から外れた曲も無い。そのため、最初から最後まで淀みなく聴ける。ここまで来ると安定感しかない。次のアルバムはどうなるのだろう。
とりあえず、こんな感じ。次回はまたいつか。
詳説・惜しくも受賞を逃した作品 2018年7月編
「収穫月間MVP」を受賞する作品はそれぞれの部門で2作のみ。ただ、それ以外にも良いと思った作品の方がよっぽど多いわけで、それらを紹介しないのはあまりにも勿体無い。というわけで、毎度毎度「惜しくも受賞を逃した作品」を紹介している。2018年7月編のラインナップは以下の通り。
今回は顔見知り部門での「惜しくも受賞を逃した作品」は無し。全て初めまして部門。
・和久井映見「Dearest」(1996年)
・Cymbals「That’s Entertainment」(2000年)
- アーティスト: Cymbals,矢野博康,沖井礼二,土岐麻子
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2000/01/21
- メディア: CD
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・オトナモード「Watercolor」(2009年)
・小川美由希「mew club」(1987年)
・丸山みゆき「夢を見てますか」(1990年)
このような顔ぶれとなった。早速、上記の作品の簡単な感想を書いていく。
和久井映見「Dearest」…女優としての姿しか知らなかった。女優の音楽活動に何となく興味を持ってしまう性分なので、和久井映見の音楽活動も掘り下げてみたいと思った。そして、最初に手に取ったのが今作。
どうやら和久井映見のアルバムの中でも特にシティポップや渋谷系の色濃い作品になっているようだ。確かに、楽曲提供したミュージシャンの顔ぶれを見るとそのような印象を受けた。一曲一曲に聴きごたえがあったのは言うまでもない。そして、和久井映見のボーカルもとても聴き心地の良いものだった。やはり女優として活躍するだけあって、声にも魅力がある。
他にも数多くのアルバムがリリースされていたので、それらも聴いてみたいと思った。
Cymbals「That’s Entertainment」…Cymbalsそのものよりも、解散後のメンバー個々の活動の方が印象に残っていた。沖井礼二や矢野博康が関わった曲を聴く機会が多く、どれもお洒落で軽快で自分好みだったのでバンド時代も聴いてみようと思った。そして最初に聴いたのが今作。
1stとは思えないほどに完成度の高い、お洒落で都会的なポップス・ロックを楽しめた。可愛らしく遊び心に満ちた雰囲気にも引き込まれた。聴き流すのがとにかく心地良い曲ばかりで、どうして今まで聴いてこなかったのだろうと思うほどだった。他の作品や土岐麻子のソロ作品も聴き進めていきたい。
オトナモード「Watercolor」…オトナモードはフォロワーが以前に作品を入手してハマっていたという印象が強い。それに影響を受けた形で自分も今作を手に取った。
まさに王道J-POPを奏でるバンドといった感じ。聴いているとMr.Childrenやスピッツ、小田和正辺りからの影響がよく出ている。
当然自分の好みなのだが、「ただ爽やかなだけじゃ個性が無くてつまらない」だの「この手のバンドはいくらでもいる」だの考えて、こうしたバンドや曲を敬遠していた時期もあった。
その時期を経て今作を聴いたが、やはり好きだ。どんな変化球でも、自分にとっては王道には敵わない。そう思わせてくれた。
小川美由希「mew club」…小川美由希は今まで全く知らなかったが、自分が勝手に影響を受けているサイトで作品が高評価されていたので作品を探すようになった。今作はそのサイトで評価されていたものではないのだが、見かけること自体が稀なので気にはしていない。
プリプリの奥居香(岸谷)のような力強いボーカルと、ポップでキャッチーな曲たちの相性は抜群。ガールポップからさらに細かく分類するなら「ロック系」と言ったところか。とはいっても声量で圧倒するようなボーカルでもなく、可愛らしさもほんの少し感じられる。ロック系の女性ボーカルが苦手な自分でもハマれた。中々見かけないのは承知だが、他の作品も探してみたいと思う。
丸山みゆき「夢を見てますか」…今までは名前も知らない状態だったが、今作は収穫に行った中古屋で見かけることが多く、自然と名前や作品名を知った。調べて曲を聴いてみると、歌声が自分好みだったので今作を入手した。
その爽やかで可愛らしい歌声に魅かれた。今作は再デビュー作のようで、以前の作品よりも自ら作詞作曲した曲が増えているという。その歌声の魅力を引き出すような、ゆったりとした聴かせる曲が多い。そのため、全体を通して優しく温かみのある作風となっている。ガールポップといえば確かにそうだが、それよりもう少し前のニューミュージック的な雰囲気を感じた。ジャンルはどうあれ、自分好みな音楽なのは事実。
とりあえず、こんな感じ。次はまたいつか。
詳説・収穫月間MVP 2018年7月編
毎月の定期のようになっている「#収穫月間MVP」の発表日がやってきた。
もう何度となくこの記事を書いてはルールを説明してきたので、ルールの説明は省略させていただく。
それでは、早速発表していこう。
初めまして部門
・tipToe.「magic hour」(2018年)
・SPANK HAPPY「“FREAK SMILE”」(1995年)
Standard of 90’sシリーズ「FREAK SMILE」(紙ジャケット仕様)
- アーティスト: スパンク・ハッピー
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2007/10/24
- メディア: CD
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顔見知り部門
・Oh!Penelope「Milk&Cookies」(1997年)
- アーティスト: Oh!Penelope
- 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
- 発売日: 1997/03/01
- メディア: CD
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・渡辺満里奈「MISS」(1989年)
惜しくも受賞を逃した作品
初めまして部門
・和久井映見「Dearest」(1996年)
・Cymbals「That’s Entertainment」(2000年)
・オトナモード「Watercolor」(2009年)
・小川美由希「mew club」(1987年)
・丸山みゆき「夢を見てますか」(1990年)
顔見知り部門
該当作なし。
このような顔ぶれとなった。正直なところ、7月は初めて作品を入手したアーティストの方が多く、顔見知り部門の選定にはかなり苦戦してしまった。そもそも収穫した数自体が少ないというのもあるが。とはいえ、気に入った作品というのは変わらない。
それでは、受賞した作品の簡単な感想を書いていく。
・tipToe.「magic hour」…何がきっかけでこのアイドルグループの名前を知ったかは覚えていないが、曲を聴いてすぐにハマって今作を入手した。今年リリースの1stアルバム。
渋谷系やギターポップを想起させるお洒落でポップなサウンド、「青春」をテーマにした詞世界に引き込まれた。「みんなで青春しませんか?」というコンセプトで活動しているだけあって、眩しいほどに青く煌めく詞世界を堪能できる。また、ファミコンゲームでもやっているかのような打ち込みサウンド(チップチューン)も印象的。
構成としては既発曲がほとんどを占めていてベスト盤同然だが、9曲で35分半というコンパクトさも見事。何度でも聴けて何度でも楽しめそうな作品である。
SPANK HAPPY「“FREAK SMILE”」…SPANK HAPPYは菊地成孔関連で名前を知ったユニット。今作をリリースした頃のSPANK HAPPYはメンバー構成から「裏ドリカム」「悪ドリカム」などと呼ばれ、本家にも負けない程にヒット性の高いポップなメロディーやサウンドに、アクの強い歌詞やギミックを混ぜるのを得意としていた。
「可愛らしい」「不思議」「コケティッシュ」など様々な印象を与えるようなハラミドリのボーカル、文学的な詞世界や前衛的なサウンドを展開する菊地成孔、メロディーやサウンドにポップな味付けをする河野伸…本来は合わないような3者の才能が見事に一体化している。他にも一癖も二癖もある実力派ミュージシャンが多数参加しているわけだが、それでも全体としてはポップ。実験的な要素も相当に強いが、あくまでポップ。今までに聴いたことのないような作品だった。
顔見知り部門…
Oh!Penelope「Milk&Cookies」…Oh!Penelopeは詩人の血からの流れで名前を知り、セルフタイトルのミニアルバムを以前に入手した。そのお洒落かつポップなメロディーやサウンドに引き込まれ、詩人の血だけでなくOh!Penelopeにもハマった。今作はすぐに廃盤になってしまったことからプレミアがついている。それでも運良く入手できた。
全18曲入りで73分という大作なのだが、それでも長さを感じさせない。いつ聴いても変わらずに楽しめるような、カラフルでエバーグリーンなサウンドの数々に圧倒されるばかりだった。実験的だったりマニアックだったりする部分も確かに多くあるのだが、最終的にポップにまとめられている。渡辺善太郎のアレンジ能力の凄さがわかる。辻睦詞の「綺麗」というフレーズがよく似合う歌声も、唯一無二としか言いようのない存在感を放っている。
Oh!Penelopeを無理やりジャンルで括るなら渋谷系になるのだろうが、渋谷系の名盤の代表格として語られても良いだけの作品だと思う。プレミアがつくのも頷ける。
渡辺満里奈「MISS」…渡辺満里奈は以前「EVERGREEN」を聴き、シティポップ色の強い上質な楽曲に魅かれた。歌唱力は決して高くはないものの、独特な歌声の魅力を活かすような音作りがされていた印象があった。
今作は「EVERGREEN」や「SUNNY SIDE」で確立された、清楚で上質なアイドルポップス路線を維持した作品。ここまで来ると安定感しか無いレベルなのだが、やはり期待は裏切らない。ニューミュージックやシティポップ系の実力派作曲家・編曲家が参加し、渡辺満里奈のイメージに沿った楽曲を提供している。
次作以降はアイドル然とした要素が減っていくので、アイドルとしての渡辺満里奈を楽しむなら今作までという印象。
とりあえず、こんな感じ。次回はまたいつか。
詳説・惜しくも受賞を逃した作品 2018年6月編
「収穫月間MVP」を受賞する作品があれば、それぞれの部門で2作のみという枠の都合によって惜しくもそれを逃してしまう作品も生まれる。しかし、そのような作品たちも受賞した作品と同じくらい良いと思ったわけで、それを広めずにいるのはあまりにも勿体無い。
こうした理由で毎回「惜しくも受賞を逃した作品」を紹介している。
今回の「惜しくも受賞を逃した作品」たちは以下の通り。
初めまして部門
・麻績村まゆ子「すくすく」(2002年)
- アーティスト: 麻績村まゆ子,MaMi-choco,川菜翠
- 出版社/メーカー: サイトロン・デジタルコンテンツ
- 発売日: 2002/03/20
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・渡辺満里奈「EVERGREEN」(1987年)
・有近真澄「too too」(1991年)
顔見知り部門
・堂島孝平「smiles」(2006年)
- アーティスト: 堂島孝平,前田憲男,Hi-Tension Please!,會田茂一
- 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 発売日: 2006/02/22
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・1986オメガトライブ「Crystal Night」(1987年)
このような顔ぶれとなった。
初めまして部門…
・麻績村まゆ子「すくすく」…麻績村まゆ子の声優としての活躍も知らない人間なのだが、フォロワーさんの好きなアルバムランキングで比較的上位に入っていたので、前から気になっていた作品だった。
様々なアルバムをリリースしていたが、その中でも今作は歌入りの作品に特化したベスト盤的な作品のようだ。可愛らしい中に、聴いていて思わず胸が締め付けられるような切なさも感じられる歌声だった。訴求力のある歌声はまさに自分好み。曲の完成度もかなりのもの。「あ・こ・が・れ」は特に好きな曲。これからはこの曲がぴったりな季節になるので、夏のお供として聴いていきたい。
・渡辺満里奈「EVERGREEN」…タレントとしての渡辺満里奈しか知らなかったのだが、あるフォロワーさんが今作を高く評価していたので、気になって探していた。
全体を通して、上質でお洒落なポップスが展開されていた作品だった。山川恵津子によるカラフルなアレンジが冴え渡っており、今作の上質さを演出していた。シンセの音色は今となっては古臭さも感じられるが、凝った音作りには引き込まれた。渡辺満里奈の歌声は好き嫌いが分かれそうだが、それに合った曲やアレンジが揃えられている印象で、それほど気にならなかった。この路線の作品は他にも数作あるので、そちらも聴いてみたい。
・有近真澄「too too」…今まで名前すら知らなかったアーティストなのだが、フォロワーさんのブログで高評価だったので探していた。ニューウェーブ色の強い楽曲を得意としたアーティストであり、ニューウェーブにハマった自分にはぴったりだった。
ひねくれているが、ポップ。フレンチポップスやエレクトロ、ニューウェーブなど多彩なジャンルを取り入れ、複雑に作り込まれたサウンドに圧倒された。有近真澄独特の中性的な歌声も相まって、何とも掴み所のない作品となっている。曲そのものの完成度や、凝りに凝ったサウンド面は今でも通用すると思う。
顔見知り部門…
・堂島孝平「smiles」…堂島孝平は去年にハマり、かなり好きな男性シンガーソングライターとなっている。それでも、2000年代に入ってからの作品はあまり聴いてこなかった。失礼だが、才能が枯渇してしまったのではと邪推していたからだ。そのような中で今作を入手して、聴いた。
今作を聴き終えた頃には、前述した考えを持っていた自分を心底馬鹿だと思った。どこまでもポップなメロディーの数々と、お洒落で聴きごたえのあるサウンドに引き込まれるばかりだった。自分が思う堂島孝平の全盛期は2ndアルバム「陽だまりの中に」〜6thアルバム「黄昏エスプレッソ」までなのだが、その頃の作品と同じくらい好きになった。
1986オメガトライブ「Crystal Night」…カルロス・トシキがボーカルを担当していた頃のオメガトライブだが、以前「DOWN TOWN MYSTERY」を聴いて良いと思った。今作もかなり人気が高い作品という印象だったので、期待しつつ入手した。
生音によるシティポップ・AORへのアプローチを想像していたが、今作は打ち込みを多用したポップナンバーが並んだ作品だった。これまでよりもさらに都会的な雰囲気が増していた。それでも、これまでのわかりやすくポップなメロディーはそのままだった。当時の流行を体現したような、派手で攻撃的なアレンジは笑ってしまうほどだったが、それはそれで楽しめた。
とりあえず、こんな感じ。次はまたいつか。
詳説・収穫月間MVP 2018年6月編
毎月の恒例となりつつある?「#収穫月間MVP」の発表時期がやってきた。
そろそろ「#収穫月間MVP」の説明をするのも飽きてきたので、早速受賞作品を紹介していこう。受賞作品は以下の通り。
初めまして部門
- アーティスト: 高橋徹也,加納直喜,竹上良成,上田禎,菊地成孔
- 出版社/メーカー: キューンミュージック
- 発売日: 1998/05/02
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・有賀啓雄「Innocent Days」(1993年)
顔見知り部門
・角松敏生「ON THE CITY SHORE」(1983年)
・Aqua Timez「because you are you」(2012年)
because you are you(初回生産限定盤)(DVD付)
- アーティスト: Aqua Timez,LGMonkees,いしばしさちこ
- 出版社/メーカー: ERJ
- 発売日: 2012/09/05
- メディア: CD
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惜しくも受賞を逃した作品は以下の通り。
初めまして部門
・麻績村まゆ子「すくすく」(2002年)
・渡辺満里奈「EVERGREEN」(1987年)
・有近真澄「too too」(1991年)
顔見知り部門
・堂島孝平「smiles」(2006年)
・1986オメガトライブ「Crystal Night」(1987年)
このような顔ぶれとなった。
それでは、受賞した作品の簡単な感想を書いていく。
初めまして部門
・高橋徹也「夜に生きるもの」…この作品は90年代における名盤として扱われることがあり、それで名前を知っていた。しばらく前から探していたが、先月に漸く入手できた。
不穏な雰囲気溢れるジャケ写やタイトルから、やはり暗い曲が揃っているのだろうと思って聴いた。確かにそのような曲もあったのだが、それでも重苦しく感じないようなポップセンスに満ちていた。ロックやファンク、ジャズなどの要素を感じさせる、お洒落かつ格好良いサウンド面にも魅かれた。全編通して展開される、鬼気迫るようなボーカルもインパクト抜群。高橋徹也のひねくれたセンスが冴え渡った名盤だと思う。他の作品も聴いてみたい。
・有賀啓雄「Innocent Days」…ベーシスト・作編曲家としての有賀啓雄しか知らなかったが、ある時にシンガーソングライターとしても活動していたことを知り、それ以来興味を持っていた。
全9曲・38分程度とかなりコンパクトな作品で、どの曲もとてもポップでしっかりと耳に残った。鼻詰まりのような独特な歌声は好き嫌いが分かれると思うが、そのメロディーセンスやアレンジ能力は卓越したものがある。今作と同月に有賀啓雄のゴールデン☆ベストも購入し、そちらもハマった。「雨男」と言っていいほどに「雨」のフレーズが登場する詞世界もご愛嬌。今作はシンガーソングライター・有賀啓雄のラストアルバムだが、他のオリジナルアルバム2作も聴きたい。
顔見知り部門…
角松敏生「ON THE CITY SHORE」…角松敏生は好きな男性シンガーソングライターの一人だが、初期のリゾートミュージック路線の作品はほとんど聴いたことが無かった。先月「WEEKEND FLY TO THE SUN」と同時に安価で購入できた。どちらも良いと思ったが、こちらの方がハマったので受賞した形。
シティポップ・AORの要素と、後のファンクの要素が上手い具合に調和した作品だった。サウンド面の聴きごたえは以降の作品と何ら変わらない。「TAKE YOU TO THE SKY HIGH」「TAKE ME FAR AWAY」といった耳馴染みのある曲が収録されていたのも、すぐにハマれた理由の一つ。「夏」「海」を想起させる曲が多かったので、さらに暑くなっていく夏のお供として聴いていきたい。
Aqua Timez「because you are you」…Aqua Timezは自分にとっての「世代」と言えるバンドであり、馴染みのある曲が多い。小学校低学年〜中学年くらいにセールス的な全盛期を迎えていたわけだが、今作はそれを過ぎてからの作品。ただ、ツイッターでのフォロワーさんから厚く支持されている作品であり、それで気になって今作を入手した。
「Aqua Timezって、こんなにかっこよかったっけ?」と思いながら今作を聴いていた。自分が思っていた以上にポップで、自分が想像していた以上にロック色が強くて格好良かった。シングル曲と同じくらい耳に残るアルバム曲もあり、あっという間に今作を聴き終えてしまった。Aqua Timezについては長らくニワカリスナーだったが、今作のお陰でさらに深く聴いていけそう。
とりあえず、こんな感じ。次はまたいつか。
詳説・惜しくも受賞を逃した作品 2018年5月編
「収穫月間MVP」を受賞する作品があれば、それぞれの部門で2作のみという枠の都合によって惜しくもそれを逃してしまう作品も生まれる。しかし、そのような作品たちも受賞した作品と同じくらい良いと思ったわけで、それを広めずにいるのはあまりにも勿体無い。
こうした理由で毎回「惜しくも受賞を逃した作品」を紹介している。
今回の「惜しくも受賞を逃した作品」たちは以下の通り。
初めまして部門
・坂口有望「blue signs」(2018年)
・かの香織「裸であいましょう」(1995年)
- アーティスト: かの香織,細海魚,白井良明,門倉聡,吉田智,松浦雅也
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 1995/09/01
- メディア: CD
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・中里あき子「1/200,000の都会」(1987年)
顔見知り部門
・原田真二「Urban game」(1988年)
・和田弘樹「WONDER HERO Ⅱ Brand-New Atlas」(1996年)
WONDER HERO II Brand-New Atlas
- アーティスト: 和田弘樹,谷亜ヒロコ,本間昭光
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 1996/06/21
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このような顔ぶれとなった。
初めまして部門
・坂口有望「blue signs」…坂口有望は昨年「好-じょし-」を聴いてハマり、その後も何曲か耳にして好印象だった。そのため、少々高値ではあったものの、1stアルバムである今作も入手して聴いてみた。
坂口有望はギター女子というような括りになるのだろうか。この手のアーティストは個人的にも好きなタイプである。作品に関しては、10代後半というタイミングでしか描き出せない感情が詰まっていた。まさか自分よりも年下のアーティストが出てくるとは…という驚きもあったが、その詞世界には色々と共感できた。何より驚いたのは、そのメロディーセンス。どの曲もしっかり耳に残った。まだまだ坂口有望の活躍を見届けていきたい。そう思わせてくれる作品だった。
かの香織「裸であいましょう」…かの香織は前から名前だけ知っていたが、作品は聴いたことがないという状態だった。フォロワーさんからのおすすめもあったので、今作を入手して聴いた。
かの香織は女性ポップス職人と言える存在だが、その魅力をしっかり堪能できる作品だと思った。シティポップの雰囲気も漂わせた、お洒落で上質なポップスの数々はとても心地良いものがあった。それと同時に、卓越したメロディーセンスの持ち主だとわかった。かの香織独特の、変幻自在のボーカルも冴え渡っていた。今作がリリースされた当時、ひっそりとガールポップが盛り上がっていたわけだが、それらとはまた少し違った魅力を持ったアーティストだと感じた。中古屋でよく見かけるのが歯がゆい。
中里あき子「1/200,000の都会」…この作品及びアーティストの存在は、中古屋で見かけて初めて知った。調べてみると、ごく一部のサイトで高い評価がされていたので気になり、それを購入した形。
本職がアイドルなのか本格的な歌手なのかはわからないが、とても可愛らしく透明感のある歌声の持ち主だった。もっと聴けば「理想の女性ボーカル」の位置につきそうなくらい。一曲一曲の完成度もなかなか高い。サウンド面は時代を感じさせるものばかりだったが、いかにも80年代後半という感じのサウンドは自分好みなので欠点にはならなかった。
顔見知り部門
・原田真二「Urban game」…原田真二はほぼ同じ時期に入手した「Magical Healing」が収穫月間MVPを受賞したが、今作もそれと同じくらいハマった。同一アーティストの作品が収穫月間MVPの席に並ぶのは個人的にはあまり無いことだったので、何となく新鮮な気分。
当時の原田真二はエレクトロファンクに傾倒していたわけだが、今作がそのラストとなるアルバム。アップテンポな曲でも、バラードでもとにかくメロディーが印象に残る上に、サウンドへの拘りぶりが凄まじい。卓越したメロディーメーカー・サウンドクリエイターであることを実感させてくれる作品だった。全編を通して才気走っているのがよくわかる。
和田弘樹「WONDER HERO Ⅱ Brand-New Atlas」…和田弘樹は2月に入手した「WONDER HERO」を聴いてハマったが、今作はその次作。現在はh-wonder名義で作編曲家として活躍しているのも頷ける、実力と才能がしっかり現れた作品だった。
今作は外部が作詞した曲や、他のミュージシャンと共同で編曲した曲があるのが特徴。これまでもバラエティ豊かで飽きない作風だったが、それによってさらに楽しみどころが増えた。好青年的なイメージの歌声は相変わらず。この手の歌声の持ち主はすっかり減ってしまったので、中々に貴重である。たまには自分で歌ってほしいと思う。
とりあえず、こんな感じ。前回の記事を更新してから、だいぶ時間が経ってしまった。放置しだすといつまでも放置してしまう性分が出てしまった。次はまたいつか。
詳説・収穫月間MVP 2018年5月編
前回の発表は少し遅れる形だったものの、今回はタイムリーに行う。
何度も説明してきたが、今一度「収穫月間MVP」についての説明を行う。
「収穫月間MVP」は前の月に初めて作品を入手したアーティストが対象の「初めまして部門」と、それ以前から作品を入手していたアーティストが対象の「顔見知り部門」とがある。それぞれ2作品ずつ。
以前から作品を入手していたが、塩漬けにしていて聴いていなかった作品が対象の「感動の再会部門」と題した部門も一応ある。管理人は一度だけそれを適用したことがあるが、それ以降は対象作品が無かったため使っていない。
長くなってしまったが前置きはここまで。ツイッターで既に受賞作品は発表したが、こちらでも発表させていただく。
初めまして部門
・岩下清香「眠らせないで」(1996年)
・佐藤博「AWAKENING」(1982年)
顔見知り部門
・原田真二「Magical Healing」(1985年)
・詩人の血「What if…」(1989年)
- アーティスト: 詩人の血-LE SANG D’un POETE-,詩人の血
- 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
- 発売日: 1989/10/21
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惜しくも受賞を逃した作品は以下の通り。
初めまして部門
・坂口有望「blue signs」(2018年)
・中里あき子「1/200,000の都会」(1987年)
・かの香織「裸であいましょう」(1995年)
顔見知り部門
・原田真二「Urban game」(1988年)
・和田弘樹「Wonder Hero Ⅱ Brand-New Atlas」(1996年)
このような顔ぶれとなった。久し振りに80年代に傾倒したような印象がある。意識していたわけではないのだが。
それでは、受賞した作品の簡単な感想を書いていく。
初めまして部門…
岩下清香「眠らせないで」…岩下清香は全く知らなかったが、今作に参加した作家陣がかなり豪華だったので、それで気になって今作を探し始めた。amazonのページを見る限り、それなりにプレミアがついているようだったが運良く500円で入手することができた。
70〜80年代のシティポップ・AORに傾倒した作風だった。サウンド面の聴きごたえはもちろんのこと、岩下清香の清涼感溢れる歌声も素晴らしいものがあった。同じような歌声の持ち主は沢山いそうなのだが、不思議といない。集中して聴いていても、何かのついでで聴き流していても心地良い曲ばかり。プレミアが付いているのも頷ける作品だった。ここ最近はシティポップ・AORの人気が高まっているので、再発されたら間違いなく再評価されるような作品だと思う。
佐藤博「AWAKENING」…3年ほど前から気になりつつも、何故か放置してきた作品だった。2014年リリースのスペシャル・エディション盤を先月にやっと入手した。日本のシティポップ・AORにおける名盤として挙げられることも多く、かなりの期待をして聴いた。期待した通りどころか、期待以上の作品だった。
佐藤博自らのボーカルの他に、ウェンディ・マシューズという女性歌手をフィーチャーした上質なポップスを堪能できた。シティポップ・AOR、フュージョン、ソウル、ファンク…様々なジャンルを内包した曲は非常に爽やかで心地良いものだった。リンドラムというリズムマシンを全編に渡って使用しているが、そう知っていないと打ち込みだと思えないほどにグルーヴ感がある。
これからはどんどん暑くなっていく。今年の夏を過ごすお供として、まだまだ聴き込んでいきたいと思う。
顔見知り部門…
原田真二「Magical Healing」…原田真二は2月に「DOING WONDERS」を聴いて以来ハマった。今作はそれと同じようなエレクトロファンク路線の作品なので、まず外れは無いと思って聴いた。
全体的に打ち込み主体のサウンドながら、かなりダンサブルなものが揃っていた。最初からテクノやニューウェーブをやっていたのかと思うほどに作り込まれた打ち込みサウンドは圧巻。タイトかつ力強いリズムはこの頃の音楽界特有のものと言えるが、それを十分に堪能することができた。原田真二の作品に共通する、卓越したポップ性も今作では特に冴え渡っていた。どれだけ捻った曲でも、サビは確実にキャッチーなものに仕上げる。一聴しただけでも多くの曲が印象に残った。原田真二の長いキャリアの中で生み出された全ての作品を聴いたわけではないのだが、今作は特に気に入った。
詩人の血「What if…」…詩人の血は3月に「とうめい」を聴いて、その捻くれたポップセンスに魅せられた。先月に今作の他にも「cello-phone」「花と夢」を入手して聴いたが、その中でも今作が一番ハマったので受賞となった。
1stアルバムにありがちな若々しさや初期衝動はほとんど感じられないのだが、緻密に作り込まれたサウンドや心地良いメロディーに引き込まれた。全体的に派手さは控えめで聴かせる曲が多くなっているが、それにも耐え得るメロディーセンスやサウンド構築の技術が素晴らしい。ボーカルの辻睦詞の変幻自在な歌声にも圧倒されるばかり。メンバーの一人だった渡辺善太郎は後に作編曲家・プロデューサーとして活躍するわけだが、その素養はキャリア最初期の今作から発揮されていたのがよくわかる。
当時としては異色過ぎたのかもしれないが、今聴いても古さを感じないどころか新鮮ささえ感じる。再評価されてほしいバンドである。
とりあえず、こんな感じ。次回はまたいつか。