詳説・惜しくも受賞を逃した作品 2018年6月編

 

「収穫月間MVP」を受賞する作品があれば、それぞれの部門で2作のみという枠の都合によって惜しくもそれを逃してしまう作品も生まれる。しかし、そのような作品たちも受賞した作品と同じくらい良いと思ったわけで、それを広めずにいるのはあまりにも勿体無い。

こうした理由で毎回「惜しくも受賞を逃した作品」を紹介している。

今回の「惜しくも受賞を逃した作品」たちは以下の通り。

 

初めまして部門

 

麻績村まゆ子「すくすく」(2002年)

すくすく

すくすく

 

 

渡辺満里奈「EVERGREEN」(1987年)

エヴァーグリーン

エヴァーグリーン

 

 

・有近真澄「too too」(1991年)

too too

too too

 

 

顔見知り部門

 

堂島孝平「smiles」(2006年)

SMILES

SMILES

 

 

1986オメガトライブ「Crystal Night」(1987年)

CRYSTAL NIGHT

CRYSTAL NIGHT

 

 

このような顔ぶれとなった。

 

初めまして部門…

 

麻績村まゆ子「すくすく」…麻績村まゆ子の声優としての活躍も知らない人間なのだが、フォロワーさんの好きなアルバムランキングで比較的上位に入っていたので、前から気になっていた作品だった。

様々なアルバムをリリースしていたが、その中でも今作は歌入りの作品に特化したベスト盤的な作品のようだ。可愛らしい中に、聴いていて思わず胸が締め付けられるような切なさも感じられる歌声だった。訴求力のある歌声はまさに自分好み。曲の完成度もかなりのもの。「あ・こ・が・れ」は特に好きな曲。これからはこの曲がぴったりな季節になるので、夏のお供として聴いていきたい。

 

渡辺満里奈「EVERGREEN」…タレントとしての渡辺満里奈しか知らなかったのだが、あるフォロワーさんが今作を高く評価していたので、気になって探していた。

全体を通して、上質でお洒落なポップスが展開されていた作品だった。山川恵津子によるカラフルなアレンジが冴え渡っており、今作の上質さを演出していた。シンセの音色は今となっては古臭さも感じられるが、凝った音作りには引き込まれた。渡辺満里奈の歌声は好き嫌いが分かれそうだが、それに合った曲やアレンジが揃えられている印象で、それほど気にならなかった。この路線の作品は他にも数作あるので、そちらも聴いてみたい。

 

・有近真澄「too too」…今まで名前すら知らなかったアーティストなのだが、フォロワーさんのブログで高評価だったので探していた。ニューウェーブ色の強い楽曲を得意としたアーティストであり、ニューウェーブにハマった自分にはぴったりだった。

ひねくれているが、ポップ。フレンチポップスやエレクトロ、ニューウェーブなど多彩なジャンルを取り入れ、複雑に作り込まれたサウンドに圧倒された。有近真澄独特の中性的な歌声も相まって、何とも掴み所のない作品となっている。曲そのものの完成度や、凝りに凝ったサウンド面は今でも通用すると思う。

 

 

顔見知り部門…

 

堂島孝平「smiles」…堂島孝平は去年にハマり、かなり好きな男性シンガーソングライターとなっている。それでも、2000年代に入ってからの作品はあまり聴いてこなかった。失礼だが、才能が枯渇してしまったのではと邪推していたからだ。そのような中で今作を入手して、聴いた。

今作を聴き終えた頃には、前述した考えを持っていた自分を心底馬鹿だと思った。どこまでもポップなメロディーの数々と、お洒落で聴きごたえのあるサウンドに引き込まれるばかりだった。自分が思う堂島孝平の全盛期は2ndアルバム「陽だまりの中に」〜6thアルバム「黄昏エスプレッソ」までなのだが、その頃の作品と同じくらい好きになった。

 

1986オメガトライブ「Crystal Night」…カルロス・トシキがボーカルを担当していた頃のオメガトライブだが、以前「DOWN TOWN MYSTERY」を聴いて良いと思った。今作もかなり人気が高い作品という印象だったので、期待しつつ入手した。

生音によるシティポップ・AORへのアプローチを想像していたが、今作は打ち込みを多用したポップナンバーが並んだ作品だった。これまでよりもさらに都会的な雰囲気が増していた。それでも、これまでのわかりやすくポップなメロディーはそのままだった。当時の流行を体現したような、派手で攻撃的なアレンジは笑ってしまうほどだったが、それはそれで楽しめた。

 

とりあえず、こんな感じ。次はまたいつか。

詳説・収穫月間MVP 2018年6月編

毎月の恒例となりつつある?「#収穫月間MVP」の発表時期がやってきた。

 

そろそろ「#収穫月間MVP」の説明をするのも飽きてきたので、早速受賞作品を紹介していこう。受賞作品は以下の通り。

 

初めまして部門

 

高橋徹也夜に生きるもの」(1998年)

夜に生きるもの

夜に生きるもの

 

 

有賀啓雄「Innocent Days」(1993年)

Innocent Days

Innocent Days

 

 

 

顔見知り部門

 

角松敏生「ON THE CITY SHORE」(1983年)

ON THE CITY SHORE

ON THE CITY SHORE

 

 

Aqua Timez「because you are you」(2012年)

because you are you(初回生産限定盤)(DVD付)

because you are you(初回生産限定盤)(DVD付)

 

 

惜しくも受賞を逃した作品は以下の通り。

 

初めまして部門

麻績村まゆ子「すくすく」(2002年)

渡辺満里奈「EVERGREEN」(1987年)

・有近真澄「too too」(1991年)

 

顔見知り部門

堂島孝平「smiles」(2006年)

1986オメガトライブ「Crystal Night」(1987年)

 

このような顔ぶれとなった。

 

それでは、受賞した作品の簡単な感想を書いていく。

 

初めまして部門

 

高橋徹也夜に生きるもの」…この作品は90年代における名盤として扱われることがあり、それで名前を知っていた。しばらく前から探していたが、先月に漸く入手できた。

不穏な雰囲気溢れるジャケ写やタイトルから、やはり暗い曲が揃っているのだろうと思って聴いた。確かにそのような曲もあったのだが、それでも重苦しく感じないようなポップセンスに満ちていた。ロックやファンク、ジャズなどの要素を感じさせる、お洒落かつ格好良いサウンド面にも魅かれた。全編通して展開される、鬼気迫るようなボーカルもインパクト抜群。高橋徹也のひねくれたセンスが冴え渡った名盤だと思う。他の作品も聴いてみたい。

 

有賀啓雄「Innocent Days」…ベーシスト・作編曲家としての有賀啓雄しか知らなかったが、ある時にシンガーソングライターとしても活動していたことを知り、それ以来興味を持っていた。

全9曲・38分程度とかなりコンパクトな作品で、どの曲もとてもポップでしっかりと耳に残った。鼻詰まりのような独特な歌声は好き嫌いが分かれると思うが、そのメロディーセンスやアレンジ能力は卓越したものがある。今作と同月に有賀啓雄ゴールデン☆ベストも購入し、そちらもハマった。「雨男」と言っていいほどに「雨」のフレーズが登場する詞世界もご愛嬌。今作はシンガーソングライター・有賀啓雄のラストアルバムだが、他のオリジナルアルバム2作も聴きたい。

 

顔見知り部門…

 

角松敏生「ON THE CITY SHORE」…角松敏生は好きな男性シンガーソングライターの一人だが、初期のリゾートミュージック路線の作品はほとんど聴いたことが無かった。先月「WEEKEND FLY TO THE SUN」と同時に安価で購入できた。どちらも良いと思ったが、こちらの方がハマったので受賞した形。

シティポップ・AORの要素と、後のファンクの要素が上手い具合に調和した作品だった。サウンド面の聴きごたえは以降の作品と何ら変わらない。「TAKE YOU TO THE SKY HIGH」「TAKE ME FAR AWAY」といった耳馴染みのある曲が収録されていたのも、すぐにハマれた理由の一つ。「夏」「海」を想起させる曲が多かったので、さらに暑くなっていく夏のお供として聴いていきたい。

 

Aqua Timez「because you are you」…Aqua Timezは自分にとっての「世代」と言えるバンドであり、馴染みのある曲が多い。小学校低学年〜中学年くらいにセールス的な全盛期を迎えていたわけだが、今作はそれを過ぎてからの作品。ただ、ツイッターでのフォロワーさんから厚く支持されている作品であり、それで気になって今作を入手した。

Aqua Timezって、こんなにかっこよかったっけ?」と思いながら今作を聴いていた。自分が思っていた以上にポップで、自分が想像していた以上にロック色が強くて格好良かった。シングル曲と同じくらい耳に残るアルバム曲もあり、あっという間に今作を聴き終えてしまった。Aqua Timezについては長らくニワカリスナーだったが、今作のお陰でさらに深く聴いていけそう。

 

とりあえず、こんな感じ。次はまたいつか。

詳説・惜しくも受賞を逃した作品 2018年5月編

 

「収穫月間MVP」を受賞する作品があれば、それぞれの部門で2作のみという枠の都合によって惜しくもそれを逃してしまう作品も生まれる。しかし、そのような作品たちも受賞した作品と同じくらい良いと思ったわけで、それを広めずにいるのはあまりにも勿体無い。

こうした理由で毎回「惜しくも受賞を逃した作品」を紹介している。

今回の「惜しくも受賞を逃した作品」たちは以下の通り。

 

初めまして部門

・坂口有望「blue signs」(2018年)

blue signs(初回生産限定盤)(DVD付)

blue signs(初回生産限定盤)(DVD付)

 

 

かの香織「裸であいましょう」(1995年)

裸であいましょう

裸であいましょう

 

 

・中里あき子「1/200,000の都会」(1987年)

 

1/200.000の都会

1/200.000の都会

 

 

1/200,000の都会

1/200,000の都会

 

 

顔見知り部門

原田真二「Urban game」(1988年)

Urban game

Urban game

 

 

和田弘樹「WONDER HERO Ⅱ Brand-New Atlas」(1996年)

WONDER HERO II Brand-New Atlas

WONDER HERO II Brand-New Atlas

 

このような顔ぶれとなった。

 

初めまして部門

・坂口有望「blue signs」…坂口有望は昨年「好-じょし-」を聴いてハマり、その後も何曲か耳にして好印象だった。そのため、少々高値ではあったものの、1stアルバムである今作も入手して聴いてみた。

坂口有望はギター女子というような括りになるのだろうか。この手のアーティストは個人的にも好きなタイプである。作品に関しては、10代後半というタイミングでしか描き出せない感情が詰まっていた。まさか自分よりも年下のアーティストが出てくるとは…という驚きもあったが、その詞世界には色々と共感できた。何より驚いたのは、そのメロディーセンス。どの曲もしっかり耳に残った。まだまだ坂口有望の活躍を見届けていきたい。そう思わせてくれる作品だった。

 

かの香織「裸であいましょう」…かの香織は前から名前だけ知っていたが、作品は聴いたことがないという状態だった。フォロワーさんからのおすすめもあったので、今作を入手して聴いた。

かの香織は女性ポップス職人と言える存在だが、その魅力をしっかり堪能できる作品だと思った。シティポップの雰囲気も漂わせた、お洒落で上質なポップスの数々はとても心地良いものがあった。それと同時に、卓越したメロディーセンスの持ち主だとわかった。かの香織独特の、変幻自在のボーカルも冴え渡っていた。今作がリリースされた当時、ひっそりとガールポップが盛り上がっていたわけだが、それらとはまた少し違った魅力を持ったアーティストだと感じた。中古屋でよく見かけるのが歯がゆい。

 

中里あき子「1/200,000の都会」…この作品及びアーティストの存在は、中古屋で見かけて初めて知った。調べてみると、ごく一部のサイトで高い評価がされていたので気になり、それを購入した形。

本職がアイドルなのか本格的な歌手なのかはわからないが、とても可愛らしく透明感のある歌声の持ち主だった。もっと聴けば「理想の女性ボーカル」の位置につきそうなくらい。一曲一曲の完成度もなかなか高い。サウンド面は時代を感じさせるものばかりだったが、いかにも80年代後半という感じのサウンドは自分好みなので欠点にはならなかった。

 

顔見知り部門

 

原田真二「Urban game」…原田真二はほぼ同じ時期に入手した「Magical Healing」が収穫月間MVPを受賞したが、今作もそれと同じくらいハマった。同一アーティストの作品が収穫月間MVPの席に並ぶのは個人的にはあまり無いことだったので、何となく新鮮な気分。

当時の原田真二エレクトロファンクに傾倒していたわけだが、今作がそのラストとなるアルバム。アップテンポな曲でも、バラードでもとにかくメロディーが印象に残る上に、サウンドへの拘りぶりが凄まじい。卓越したメロディーメーカー・サウンドクリエイターであることを実感させてくれる作品だった。全編を通して才気走っているのがよくわかる。

 

和田弘樹「WONDER HERO Ⅱ Brand-New Atlas」…和田弘樹は2月に入手した「WONDER HERO」を聴いてハマったが、今作はその次作。現在はh-wonder名義で作編曲家として活躍しているのも頷ける、実力と才能がしっかり現れた作品だった。

今作は外部が作詞した曲や、他のミュージシャンと共同で編曲した曲があるのが特徴。これまでもバラエティ豊かで飽きない作風だったが、それによってさらに楽しみどころが増えた。好青年的なイメージの歌声は相変わらず。この手の歌声の持ち主はすっかり減ってしまったので、中々に貴重である。たまには自分で歌ってほしいと思う。

 

とりあえず、こんな感じ。前回の記事を更新してから、だいぶ時間が経ってしまった。放置しだすといつまでも放置してしまう性分が出てしまった。次はまたいつか。

 

詳説・収穫月間MVP 2018年5月編

前回の発表は少し遅れる形だったものの、今回はタイムリーに行う。

 

何度も説明してきたが、今一度「収穫月間MVP」についての説明を行う。

 

「収穫月間MVP」は前の月に初めて作品を入手したアーティストが対象の「初めまして部門」と、それ以前から作品を入手していたアーティストが対象の「顔見知り部門」とがある。それぞれ2作品ずつ。

以前から作品を入手していたが、塩漬けにしていて聴いていなかった作品が対象の「感動の再会部門」と題した部門も一応ある。管理人は一度だけそれを適用したことがあるが、それ以降は対象作品が無かったため使っていない。

 

長くなってしまったが前置きはここまで。ツイッターで既に受賞作品は発表したが、こちらでも発表させていただく。

 

初めまして部門

 

岩下清香「眠らせないで」(1996年)

眠らせないで

眠らせないで

 

 

佐藤博「AWAKENING」(1982年)

 

顔見知り部門

 

原田真二「Magical Healing」(1985年)

MAGICAL HEALING

MAGICAL HEALING

 

 

詩人の血「What if…」(1989年)

What if・・・

What if・・・

 

 

惜しくも受賞を逃した作品は以下の通り。

 

初めまして部門

・坂口有望「blue signs」(2018年)

・中里あき子「1/200,000の都会」(1987年)

かの香織「裸であいましょう」(1995年)

 

顔見知り部門

原田真二「Urban game」(1988年)

和田弘樹「Wonder Hero Ⅱ Brand-New Atlas」(1996年)

 

このような顔ぶれとなった。久し振りに80年代に傾倒したような印象がある。意識していたわけではないのだが。

 

それでは、受賞した作品の簡単な感想を書いていく。

 

初めまして部門…

 

岩下清香「眠らせないで」…岩下清香は全く知らなかったが、今作に参加した作家陣がかなり豪華だったので、それで気になって今作を探し始めた。amazonのページを見る限り、それなりにプレミアがついているようだったが運良く500円で入手することができた。

70〜80年代のシティポップ・AORに傾倒した作風だった。サウンド面の聴きごたえはもちろんのこと、岩下清香の清涼感溢れる歌声も素晴らしいものがあった。同じような歌声の持ち主は沢山いそうなのだが、不思議といない。集中して聴いていても、何かのついでで聴き流していても心地良い曲ばかり。プレミアが付いているのも頷ける作品だった。ここ最近はシティポップ・AORの人気が高まっているので、再発されたら間違いなく再評価されるような作品だと思う。

 

佐藤博「AWAKENING」…3年ほど前から気になりつつも、何故か放置してきた作品だった。2014年リリースのスペシャル・エディション盤を先月にやっと入手した。日本のシティポップ・AORにおける名盤として挙げられることも多く、かなりの期待をして聴いた。期待した通りどころか、期待以上の作品だった。

佐藤博自らのボーカルの他に、ウェンディ・マシューズという女性歌手をフィーチャーした上質なポップスを堪能できた。シティポップ・AORフュージョン、ソウル、ファンク…様々なジャンルを内包した曲は非常に爽やかで心地良いものだった。リンドラムというリズムマシンを全編に渡って使用しているが、そう知っていないと打ち込みだと思えないほどにグルーヴ感がある。

これからはどんどん暑くなっていく。今年の夏を過ごすお供として、まだまだ聴き込んでいきたいと思う。

 

顔見知り部門…

 

原田真二「Magical Healing」…原田真二は2月に「DOING WONDERS」を聴いて以来ハマった。今作はそれと同じようなエレクトロファンク路線の作品なので、まず外れは無いと思って聴いた。

全体的に打ち込み主体のサウンドながら、かなりダンサブルなものが揃っていた。最初からテクノやニューウェーブをやっていたのかと思うほどに作り込まれた打ち込みサウンドは圧巻。タイトかつ力強いリズムはこの頃の音楽界特有のものと言えるが、それを十分に堪能することができた。原田真二の作品に共通する、卓越したポップ性も今作では特に冴え渡っていた。どれだけ捻った曲でも、サビは確実にキャッチーなものに仕上げる。一聴しただけでも多くの曲が印象に残った。原田真二の長いキャリアの中で生み出された全ての作品を聴いたわけではないのだが、今作は特に気に入った。

 

詩人の血「What if…」…詩人の血は3月に「とうめい」を聴いて、その捻くれたポップセンスに魅せられた。先月に今作の他にも「cello-phone」「花と夢」を入手して聴いたが、その中でも今作が一番ハマったので受賞となった。

1stアルバムにありがちな若々しさや初期衝動はほとんど感じられないのだが、緻密に作り込まれたサウンドや心地良いメロディーに引き込まれた。全体的に派手さは控えめで聴かせる曲が多くなっているが、それにも耐え得るメロディーセンスやサウンド構築の技術が素晴らしい。ボーカルの辻睦詞の変幻自在な歌声にも圧倒されるばかり。メンバーの一人だった渡辺善太郎は後に作編曲家・プロデューサーとして活躍するわけだが、その素養はキャリア最初期の今作から発揮されていたのがよくわかる。

当時としては異色過ぎたのかもしれないが、今聴いても古さを感じないどころか新鮮ささえ感じる。再評価されてほしいバンドである。

 

とりあえず、こんな感じ。次回はまたいつか。

詳説・惜しくも受賞を逃した作品 2018年4月編

「収穫月間MVP」を受賞する作品があれば、それぞれの部門で2作のみという枠の都合によって惜しくもそれを逃してしまう作品も生まれる。しかし、そのような作品たちも受賞した作品と同じくらい良いと思ったわけで、それを広めずにいるのはあまりにも勿体無い。そのような理由で毎回「惜しくも受賞を逃した作品」を受賞した作品とともに発表しているのだが、今回はうっかりその発表を忘れてしまった。痛恨のミスだった。そのため、そのラインナップは今回のブログで初公開となる。

 

初めまして部門

辻詩音「Catch!」(2010年)

斉藤和義「Because」(1997年)

菊池桃子「ADVENTURE」(1986年)

SUICIDE SPORTS CAR非情のライセンス〜LICENSE TO KILL〜」(1999年)

・DOVE「Parallel Trip」(1990年)

水谷紹「NIGHTINGALE」(1990年)

 

顔見知り部門

佐藤聖子「CRYSTAL」(1995年)

鈴木祥子「Candy Apple Red」(1997年)

 

このような顔ぶれとなった。新しく作品を手に取ったアーティストがかなり多かったため、アンバランスなラインナップとなっている。それでは、これらの作品の簡単な紹介をしていこう。まずは初めまして部門から。

 

 

辻詩音「Catch!」

Catch!(初回生産限定盤)(DVD付)

Catch!(初回生産限定盤)(DVD付)

 

この作品はいつもお世話になっているフォロワーさんの好きなアルバムランキングの比較的上位に入っていることから、前から探していた。半年以上探していたが、やっと先月に入手できた。自分が入手したのとちょうど同じくらいの時期に、別のフォロワーさんも今作を聴いてハマっていた。良いタイミングで手に入れることができたと思う。

とにかく明るく、ポップな作風がたまらない。少しクセがありながらも、それでも可愛らしい歌声は自分の好みそのもの。曲や聴き手に寄り添うような歌声だと感じた。ポップナンバーはもちろんのこと、バラードやロックナンバーでもその歌声が魅力的だった。全曲の完成度もかなり高く、ギター系の女性シンガーソングライターの新たな名盤に出逢えたと思った。

 

斉藤和義「Because」

Because

Because

 

斉藤和義は著名な楽曲しか知らない状態だが、「ちゃんと聴けばハマる」と思っていたアーティストの筆頭格だった。最初はベスト盤から入ろうと思っていたのだが、今作から聴き始めた。ファン人気の高い「月影」や代表曲「歌うたいのバラッド」が収録されていたからだ。

渋くて、格好良い。自分の思う斉藤和義の楽曲像そのままだった。ダラダラしているようでいて、緊張感もある。独特な雰囲気を持った曲揃いだった。ロックンロール、ブルース、ポップス、昭和歌謡、ジャズなど実に多彩なジャンルを取り込みつつも、まとまりがあるところに驚いた。それは確かなメロディーを持っているからだろう。もっと深く聴いてみたいと思った。

 

菊池桃子「ADVENTURE」

ADVENTURE

ADVENTURE

 

菊池桃子はラ・ムーの作品を先に入手するという不思議な形でハマった。そのため、顔見知り部門にしようかと思ったものの、ソロとしての名義の作品は今回が初だったので初めまして部門にした。

作家として全盛期にあった林哲司が作曲・編曲を行なっているため、まず楽曲面にハズレはない。洗練されたシティポップ・AOR系のサウンドには一切の隙がない。そのようなサウンドに乗っかる、菊池桃子のふんわりとした歌声が何とも心地良い。どうやら菊池桃子は歌が下手という扱いだったようだが、自分はそのような印象は全く持たなかった。アイドルに歌唱力がそれほど求められなくなった世代の人間だからだろうか。他の作品も聴いてみたいところ。

 

SUICIDE SPORTS CAR非情のライセンス〜LICENSE TO KILL〜」

非情のライセンス?LICENCE TO KILL

非情のライセンス?LICENCE TO KILL

 

GRASS VALLEY、REV、ソロと様々な活動を展開し、その全てで全く異なる音楽を披露してきた出口雅之だが、SUICIDE SPORTS CARはスパイ映画をテーマにしたユニット。出口雅之の経歴の中でも最も著名だと思われるREVは全く聴いていないのだが、GRASS VALLEYを聴いてその歌声に魅せられた。それでこのユニットの名前を知った。

スパイ映画はほとんど観たことが無いのだが、そのような自分でも「それっぽい」と思うような、お洒落で格好良い楽曲が並んでいた。マリンバ担当のメンバーがいるからだろうか?Mr.SUICIDE SPORTS CARこと出口雅之のキザなイメージのある歌声もまた、今作のコンセプトによく合っていた。ORIGINAL LOVEや、田島貴男がボーカルを担当していた頃のピチカート・ファイヴが好きなら聴いて損は無いと思う。

 

DOVE「Parallel Trip」

Parallel Trip

Parallel Trip

 

DOVEは中古屋で作品を見かけて初めて名前を知ったバンドだった。そして、帰ってから楽曲をYoutubeで聴き、ハマれそうだと思ったので作品を入手した。その店に作品が揃っていたため、あっさりと3作を揃えてしまったのだが、その中でも今作が一番好きなので今作を紹介する。

3人組とは思えないほどに分厚く、力強いバンドサウンドが主張したロックやポップスを楽しめる。ニューウェーブを思わせる曲もある。The Policeを彷彿とさせるバンドと言うべきか。聴いていると、演奏や歌声の格好良さと歌詞の幻想的な世界観に引き込まれてしまう。ベースかボーカルというのもかなり凄い。この手のバンドは数多くいそうなのだが、意外といないもの。自分がラッキーだっただけで、作品を入手するのは少々面倒な印象があるが、YouTubeで楽曲を聴いて興味を持った方には是非とも入手していただきたいと思う。

 

水谷紹「NIGHTINGALE」

NIGHTINGALE

NIGHTINGALE

 

水谷紹は、自分が影響を受けた方のブログで紹介されていたのでその名前を知った。「ポスト高野寛というような売り出し方をされていたようで、それで興味を持った形。

いざ聴いてみると「高野寛でさえも上回るのでは…?」と思うほどにひねくれた楽曲の数々が展開されていた。ポップでありながら、一癖も二癖もあるメロディーや「ぶっ飛んだ」「人を食ったよう」といったフレーズが似合う詞世界はインパクト抜群。一度聴こうものなら、しばらく耳を駆け巡ってしまうようなキャッチー性もたまらない。シンセを駆使した、様々なギミックが散りばめられたサウンド面も圧巻。それでいて、好青年的なイメージのある容姿や歌声である。ここまでほのぼのとした狂気を帯びた作品も中々無いのではと思う。

 

 

次は顔見知り部門。

 

佐藤聖子「CRYSTAL」

CRYSTAL

CRYSTAL

 

佐藤聖子は先月に「SATELLITE☆S」を聴いてハマったが、今作はその次作。セールスが伸び悩んで打ち切られてしまったのか、アルバムのリリースは今作がラストとなった。

そのせいなのかはわからないが、今までよりも「聴かせる」曲が増えた印象がある。ポップ性で言うなら「SATELLITE☆S」の方があったと思うが、今作は佐藤聖子の歌声という魅力をより堪能できるという印象がある。どちらの路線も好きである。自作の楽曲の完成度もかなり高く、シンガーソングライターとしても才能が開花する寸前だったのではないか。今作以降はシングルのみのリリースとなってしまったのは本当に残念に思う。

 

鈴木祥子「Candy Apple Red」

Candy Apple Red

Candy Apple Red

 

鈴木祥子は自分の特に好きな女性アーティストの一人。自分は初期の名盤と言うべきポジションの2ndアルバム「水の冠」が一番好きなのだが、今作はロックに傾倒してからの作品。かなりの期待と少しの不安を抱いて今作を聴いた。

冒頭の楽曲を聴いただけで、自分が思う鈴木祥子の楽曲像ではなくなっていたのがわかった。サウンドも、詞世界も、歌い方も明らかに違う。これだけなら酷評してしまっているのだが、ハマった理由はメロディーにある。美しくポップなメロディーはこれまでとは変わらないどころか、さらに高められている印象があったからだ。今作を聴き始めた時は違和感があったのだが、聴き終えると「これはこれで良いじゃん」と思えた。

 

とりあえず、こんな感じ。次回はまたいつか。

 

詳説・収穫月間MVP 2018年4月編

「収穫月間MVP」の発表が先週の土曜日に行われた。この記事は毎回発表した直後に更新して公開していたものの、今回は色々と忙しくなって遅れてしまった。

 

何度も説明してきたが、今一度「収穫月間MVP」についての説明を行う。

 

「収穫月間MVP」は前の月に初めて作品を入手したアーティストが対象の「初めまして部門」と、それ以前から作品を入手していたアーティストが対象の「顔見知り部門」とがある。それぞれ2作品ずつ。

以前から作品を入手していたが、塩漬けにしていて聴いていなかった作品が対象の「感動の再会部門」と題した部門も一応ある。管理人は一度だけそれを適用したことがあるが、それ以降は対象作品が無かったため使っていない。

 

長くなってしまったが前置きはここまで。ツイッターで既に受賞作品は発表したが、こちらでも発表させていただく。

 

初めまして部門

 

比屋定篤子「ささやかれた夢の話」(1999年)

ささやかれた夢の話

ささやかれた夢の話

 

・上野優華「Sweet Dolce」(2017年)

Sweet Dolce (初回限定盤A)

Sweet Dolce (初回限定盤A)

 

 

顔見知り部門

高野寛「Everything is Good」(2017年)

EVERYTHING IS GOOD

EVERYTHING IS GOOD

 

荒木真樹彦「Baby,You Cry」(1990年)

BABY,YOU CRY

BABY,YOU CRY

 

このような結果となった。正直なところ、4月は新規開拓したアーティストの方が圧倒的に多かったので、顔見知り部門の選定は少々無理したような感じになっている。とはいえ、気に入った作品なのは事実。

 

それでは、受賞した作品の簡単な感想を述べていく。

 

比屋定篤子「ささやかれた夢の話」…今までは名前すら知らなかったものの「まわれまわれ」をYoutubeで聴いて、艶のある美しい歌声に魅せられた形。近年のシティポップ・AOR再興の中で、今作も再評価されているのだろうか。中古でもやたら高値で出回っているのが特徴。

どうやら比屋定篤子の本職はボサノヴァのようだが、今作は前述した通りシティポップ・AORに傾倒した作品となっている。一口にそれらのジャンルを挙げても70年代と80年代ではかなり毛色が違うが、今作はどちらかというと70年代寄り。タイトで温かみのあるバンドサウンドと、流麗なメロディーに、聴き手を癒す歌声。それは大貫妙子を彷彿とさせるものだった。聴いていて本当に心地良いし、思わず身体が動いてしまうような部分もある。高値で出回っているのも頷けるような名盤だった。

 

上野優華「Sweet Dolce」…上野優華は昨年名前を知った。というのも、ツイッターでいつもお世話になっているフォロワーさんが突然どハマりし、魂のこもった布教を行っていたからだ。無意識のうちに名前が記憶され、曲名がインプットされていた。今作に収録された「やくそく」は、曇りめがねの本家ブログ「今日はこんな感じ」でかつて行った「2017年のベストソング」で紹介しており、今作を聴けばハマるという気はしていた。案の定ハマってしまった。

リリース当時は18歳だったという若きアーティストの作品に対して使う言葉ではないだろうが、「懐かしい」と思った。自分の好きな90年代のガールポップを想起させる部分が多くあったからだ。アイドルなのかアーティストなのかわからない上野優華のキャラクターもまた、それを思わせた。

曲に表情をつけるように多彩な魅力を持った歌声、ポップ性を忘れないメロディーの数々はまさに自分の好みのど真ん中。「もっと聴かせて!」と思うような、コンパクトな構成も素晴らしい。他の作品も聴いてみたい。

 

 

顔見知り部門

高野寛「Everything is Good」…高野寛は自分の特に好きな男性アーティストの一人。この作品は昨年リリースされたものだが、リリース当時の自分のお財布事情や精神的に色々あったこともあり、リアルタイムで入手できなかった。それを先月に入手した。高野寛の新譜というだけで、決して外すことは無いだろうという不思議な信頼感があった。

卓越したポップセンスはデビュー30周年を前にしても全く色褪せていなかった。一時期の作品ではアコースティックな方面に傾倒していたが、今作では持ち味のカラフルなアレンジも復活。聴いていて安心できる、優しく心に響くような歌声も相変わらず。歌入りとインストが半々くらいのミニアルバムなのだが、どの曲も確かな良さがあった。これからの高野寛の活躍を期待している。

 

 

荒木真樹彦「Baby,You Cry」…荒木真樹彦は3月にベスト盤「BACCHUS」を聴いて、その音楽性に魅かれた。マルチプレイヤー、渋く色気のある歌声、優れたメロディーセンス、ファンクやAORなど多彩な音楽性…どれも自分の好みそのもの。

今作と同時に入手した1stアルバム「SYBER BEAT」はファンク寄りな作品だったが、2ndである今作はAOR寄りな曲が多くなっていた。ファンキーなノリも素晴らしいが、メロウなノリも魅力的。しっとりした曲だと、そのメロディーセンスや歌声が尚更際立つ。決して派手ではないが楽曲を引き立てる、本人によるギターサウンドもインパクト抜群。荒木真樹彦のオリジナルアルバムは3作持っているが、今のところは今作が一番好き。

 

とりあえず、こんな感じ。次回も楽しみにしていただけたらありがたい。

詳説・惜しくも受賞を逃した作品〜2018年3月編〜

今回は「詳説・収穫月間MVP 2018年3月編」の続き。タイトル通り「惜しくも受賞を逃した作品」についての簡単な感想を書いていきます。

2018年3月は中々の激戦区で、それこそ「他の月だったら受賞していただろうなあ」と思うような作品を数多く収穫することができました。今回は特に初めまして部門の方で、選択に迷いました。

 

それでは、「惜しくも受賞を逃した作品」を挙げていきます。

 

【初めまして部門】

森丘祥子「Pink&Blue」(1990年)

・MAYUMI「The Art Of Romance」(1993年)

・詩人の血「とうめい」(1990年)

米川英之「HALF TONE SMILE」(1994年)

佐藤聖子「SATELLITE☆S」(1995年)

・Contrary Parade「アイネ クライネ リヒトムジーク」(2013年)

 

【顔見知り部門】

・D-PROJECT「PAGES」(1993年)

・ANNA BANANA「High-Dive」(1993年)

・染谷俊「マーガレット」(1998年)

 

まずは初めまして部門から。

 

森丘祥子「Pink&Blue」

ピンク&ブルー

ピンク&ブルー

 

森丘祥子は「夢で逢えたら」のカバーで名前を知り、その可愛らしい歌声に魅かれた。そのカバーは次作のタイトル曲として収録されるわけだが、今作はアイドル然としたポップスが並んだ作品である。元々アイドルとして活動していたので「然」と付けるのも少々違和感があるが。

歌声という特色を最大限に生かすようなポップな曲ばかりとなれば、まずハズレは無い。オリジナル曲の完成度もさることながら、ハイファイ・セットの「冷たい雨」のカバーも印象的だった。ウォール・オブ・サウンド風のアレンジがされているのだが、原曲には無い新たな魅力に気付かせてくれるようなカバーだった。この手のガールポップ系のアルバムはとにかく自分好み。もう少しこの路線の作品を聴いてみたかった。

 

MAYUMI「The Art Of Romance」

The Art Of Romance

The Art Of Romance

 

MAYUMIは作曲家として活躍しているイメージがあったが、ソロアルバムを入手したのは今回が初だった。とは言っても、作曲家やプロデューサーに徹する形であり、本人がボーカルを担当しているわけでも演奏をしているわけでもない。

3人の外国人ボーカル(男性2人・女性1人)を起用し、曲によってその3者を使い分ける…という形の作品。今井美樹稲垣潤一に提供した曲のセルフカバーもあるのが特徴。当然ながら全編英語詞の作品である。今作にハマったのは、何よりもサウンド面と言える。シティポップ・AORの界隈に教科書があるとすれば、それで紹介しても良いと思えるほどに王道なAORサウンド。演奏には外国人の実力派ミュージシャンを多数起用しているため、聴き心地がとても良い。AORならではの繊細さを漂わせつつも、ガールポップ的なキャッチー性を忘れないMAYUMIのメロディーも絶品。90年代のAORの隠れた傑作である。

 

詩人の血「とうめい」

とうめい

とうめい

 

詩人の血は個人的に好きなレコード会社であるEpicソニー所属だったということや癖の強い名前であることもあって、前から名前だけは知っていたバンドだった。作品を入手したのは今回が初。

名前やボーカルの辻睦詞の容姿だけ見てV系のような作風なのかと思っていたが、実際に聴いてみると渋谷系を通過したようなお洒落かつひねくれたポップスが展開されていた。辻睦詞による独特な詞世界やボーカルは、一度聴けば忘れられない確かなインパクトがあった。多彩なジャンルを取り入れた、カラフルでいびつなサウンドもたまらない。「心地良い違和感」とでも称するべきか。このような楽曲たちは、今聴いても古臭さが無い。他の作品も聴いてみたいと思った。

 

米川英之「HALF TONE SMILE」

HALF TONE SMILE

HALF TONE SMILE

 

米川英之C-C-Bに所属していたというイメージが強いものの、ソロ作品はシティポップ・AORの色が強いと知って気になっていた。そして、1stアルバム「Sweet Voyage」と共に入手した。そちらも良いと思ったのだが、今作の方が気に入ったのでこちらを紹介する。

米川英之の渋くて格好良い歌声は、洗練された楽曲によく合っていた。全曲が米川英之作曲によるものだが、どの曲もしっかりと耳に残る仕上がりになっていたのが流石。サウンド面の聴きごたえは予想通りのものだった。90年代はシティポップ・AORの冬の時代だったと思っているのだが、そのような中でも本格的な作品があったことに驚いた。

 

佐藤聖子「SATELLITE☆S」

SATELLITE☆S

SATELLITE☆S

 

いつ頃からかはわからないが、80年代後半〜90年代中頃くらいのガールポップ系アーティストを深堀りしようと思い立ち、それに括られるアーティストの作品を色々と物色するようになった。佐藤聖子はその中でも代表的な存在であり、数ある作品の中でも今作を最初に入手した。

少し自作があるものの、ほぼ提供曲…という構成はまさにガールポップの王道。タイアップが付いた曲が多く収録されているだけあって、どの曲もとてもキャッチーだった。どの曲がシングル曲なのかわからなくなってしまったほど。可愛らしさ、透明感、力強さなど様々な面を併せ持った佐藤聖子の歌声は「理想の女性ボーカル」そのものだった。今作を1周聴いただけで、あっという間に佐藤聖子にハマってしまった。聴いた後に、他のオリジナルアルバム3作を立て続けに入手してしまったくらい。まだまだ聴き込んでいきたい。

 

Contrary Parade「アイネ クライネ リヒトムジーク」

アイネ クライネ リヒトムジーク

アイネ クライネ リヒトムジーク

 

Contrary Paradeは、いつもお世話になっているフォロワーさんからの紹介で名前を知った。自分の好きなグループであるadvantage Lucyに似た音楽性のようで、それを聞いてすぐに作品を入手した。

ずっと聴いていたいと思わせてくれるような心地良さと、お洒落な要素を持ったポップスの数々を楽しめる作品だった。ボーカルのたなかまゆの清涼感のある歌声と、キラキラしたポップサウンドとの相性は素晴らしいものがあった。多彩なアプローチがされた楽曲が展開されているのだが、どの曲もキャッチーなのは共通している。収録曲の「エイプリルシャワー」を一回聴いただけで、今作は自分の好きな作品だ…と予想していたが、見事に当たった。

 

次は顔見知り部門。

 

D-PROJECT「PAGES」

PAGES

PAGES

 

D-PROJECTは2月に「TEMPEST」を入手し、ニューウェーブ色の強いロックやポップスにハマった。しかし、今作はAORやソウルに傾倒した作品となっている。とはいえ、いきなり新たなジャンルを取り入れた時に感じてしまいがちな、ぎこちなさは全く無い。ずっとそのジャンルをやってきたかのような風格があった。

D-PROJECTのボーカルであるジョー・リノイエは、崎谷健次郎東野純直の中間のような透明感や伸びのある歌声が魅力的なのだが、AOR色の強いサウンド面のおかげで、その歌声の良さが引き出されている印象があった。全編通して溢れる、洗練された雰囲気に魅かれた。ニューウェーブを主体としてきたD-PROJECTにとっては今作が異色な作品なのかもしれないが、それでも今作が好き。

 

ANNA BANANA「High-Dive」

High-dive

High-dive

 

※正しい発売日は「1993/6/23」である。

ANNA BANANAは以前「SING SELAH」を聴いた。その頃は歌声が好きだと思ったくらいでそれほどハマらなかったものの、今作を入手してそれが変わった。ちなみに、ANNA BANANAは父親がイタリア人で母親が日系アメリカ人のようだが、楽曲は全て日本語詞である。モデルとしても活動していたという。

今作はアシッドジャズに傾倒していた頃の田島貴男がプロデュースを手掛けており、サウンド面は当時のORIGINAL LOVEの作品そのままと言ったところ。楽曲に関しては、自作(共作含む)と提供が半々になった構成。凝ったサウンド面や、メロウな雰囲気漂う楽曲・ボーカルはいつまでも聴いていたいと思わせてくれる。今後は再評価が進んで、プレミアが付きそうな予感がする。リリース当時のORIGINAL LOVEの作風が好きなら、聴いて損は無いと思う。

 

染谷俊「マーガレット」

マーガレット

マーガレット

 

染谷俊は昨年に初期のアルバム3作を聴いてハマった。尾崎豊を彷彿とさせる力強いメッセージ性に溢れたロックナンバーが印象的だったが、それと同じくらいポップな要素も持っており、その両面に魅かれた。それはピアノロックならではの魅力と言えるだろう。

今作は社会派な要素が少し薄れ、ラブソングが多くなった。そのため、ポップ性が前面に出た作風となっている。ただ、優れたメロディーメーカーとしての実力を実感させてくれるような曲が揃っている。どこまでも真っ直ぐなメッセージも、これまでと何ら変わらない。

 

とりあえず、こんな感じ。次回はまたいつか。